安倍晋三内閣の支持率が暴落を続けている。毎日新聞が7月22、23日に行った全国世論調査では、内閣支持率は26%で同社の前回6月調査より10ポイント減少した。一方、不支持率は12ポイント増の56%に達している。
同調査で興味深いのは、「ポスト安倍」に関する質問が行われたことだろう。まず、「ポスト安倍は安倍」の是非が聞かれた。
2018年9月、安倍首相の自民党総裁としての2期目の任期が終わる。それを踏まえ、「3選はOKか?」という旨の質問が行われた。「(3期目も)総裁を続けた方がよい」との回答は23%にとどまり、「代わった方がよい」は62%と6割を超えた。
さらに「安倍1強」のイメージについても質問された。結果は「自民党から安倍首相に代わる人が出てきてほしい」が31%で最多。「野党から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は25%で、「新しい政党や政治団体から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は23%だった。
また、自民党支持層では「自民党から安倍首相に代わる人が出てきてほしい」が51%となっており、すでにポスト安倍レースが激化している原因を雄弁に物語っている。
言わずもがなとはいえ、野党に期待する有権者が25%しかいないことも浮き彫りになった。少なからぬ有権者が「自民党における内部抗争の激化」を期待していると見ることもできるだろう。安倍首相の敵は野党ではなく、身内の自民党というわけだ。
「大穴」石破茂と「本命」岸田文雄の一騎打ちか
なかでも、自民党の石破茂・衆議院議員(鳥取1区)と岸田文雄・外務大臣(広島1区)の2人が耳目が集めているのは、ご存じの通りだ。
情報戦も激化している。石破氏に対しては、産経新聞が連載『加計学園 行政は歪められたのか』で『新設認めぬ「石破4条件」は獣医師会の政界工作の「成果」だった! 民主党政権でも献金攻勢…』という記事を7月18日付で掲載した。
日本獣医師政治連盟が石破氏に100万円の政治献金を行い、それを受けて石破氏が「4条件」を作成したという内容だ。石破派の猛抗議も含めて、大きな話題となった。
逆に、同じ産経・FNNが22、23の両日に行った世論調査で「いま首相にふさわしい人物」を聞いたところ、1位は石破氏で20.4%と、さすがの人気を見せつけた。ちなみに、2位は安倍首相で19.7%、3位は小泉進次郎・衆議院議員(神奈川11区)で9%という結果だった。
一方の岸田外相は、4位の小池百合子・東京都知事(8.9%)に次ぐ5位で5.3%と、少なくとも世論的には石破氏のリードを許してしまっているようだ。しかし、ここ最近の注目度は相当なものがあり、「今後も安倍政権を支えるのかどうか」について報道が過熱している。
何しろ、外相は閣僚でもトップクラスの激務。再任となれば、ポスト安倍レースに関する動きは制限されてしまう。本人は党三役を希望しているとの憶測記事も流れたが、それが実現すると「総理総裁の危機を見捨てた冷血漢」という批判が自民党内からも出かねない。