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【神戸山口組分裂・最新動向】任侠山口組がまたも記者会見で井上邦雄組長を痛烈批判…関係者たちはどう見たのか?

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8月27日に行われた任侠山口組の会見。
  

「任侠山口組 御通知
明日、任侠山口組第二回目となる記者会見をとり行う事と決定致しました
神戸側に残留した方々の、名誉の為、今までお伝えする事が出来なかった真実を、初めて公表致します
神戸、特に花隈サイドが流す嘘、捏造と、比較して皆さん各自の判断で、いずれが真かを、吟味して下さい」
 
 筆者はここまで来ても、どこかでそれを捨てきれなかった。“それ”とは偽装離脱説、つまり、今年4月末、任侠山口組が神戸山口組を割って出たのは、組織維持を見据えた偽装であり、両団体とも心根では結ばれているのではないかというものだ。任侠山口組の織田絆誠代表の生き様を聞いてきた限り【参考記事】、筆者はその偽装離脱説を否定しながらも、どこかで捨てきることができなかったのである。
 
 それゆえの逆説も成り立った。本当に偽装離脱であるのなら、完全対立しているように見える現在の状況は、完全に世間や当局を欺くことに成功しているといえる。しかし、それが著者の考えすぎでしかなかったことが、六代目山口組が分裂して2年を迎えた8月27日に、あらためて確信に変わった。
 
 舞台となったのは、尼崎市に本部を置く四代目真鍋組。結成式以来2回目となる記者会見を任侠山口組が行ったのだ。
 
 27日当日、午前10時には真鍋組本部前に報道陣が集まり始め、午前11時あたりからテレビ関係者が順次、本部内へと入ることが許可された。前回の記者会見ではカメラ撮影を禁じられていたのだが、今回は撮影時間も設けられ、正午前から記者会見が開かれている。
 
 会見の席上に座ったのは、池田幸治本部長(四代目真鍋組組長)に加え、本部長補佐5名。20ページにわたる会見内容を記した書面をマスコミ各自に配り、会見は40分足らずで終了している。
 
 会見冒頭で触れられたのは、前回の会見で「四人の大御所」として名前を伏せていた神戸山口組の幹部が、入江禎組長(神戸山口組副組長、二代目宅見組組長)、寺岡修会長(神戸山口組若頭、俠友会会長)、池田孝志組長(神戸山口組最高顧問、池田組組長)、正木年男組長(神戸山口組舎弟頭、正木組組長)であったことを明かし、名前を伏せた理由として「名誉を守るためのものでありました」と述べられている。
 
 会見内容によれば、この4人は山口組是正のために立ち上がり、神戸山口組結成に動いたはずだったが、私利私欲を抱えた井上邦雄組長(神戸山口組組長、四代目山健組組長)に振り回され、当初の志が実現せず、結果、自分たちは任侠山口組を結成せざるを得なかったという。 「要約すれば、一昨年8月27日に挙行した神戸山口組立ち上げは、山口組史上類を見ない【大型分裂詐欺事件】であった」と結論付け、「本日以降、神戸花隈サイドの対応によっては、記者会見第三段の場を設け、再度、正々堂々と真正面から受けて立つ」と締めくくられていた。
 
 この会見内容全文はすぐさま、関係者の間で流布されることとなったが、現場に駆けつけた報道陣、特に新聞社やテレビ局は全文の報道を見送るところがほとんどだったようだ。
 
「テレビでも新聞でもそうですが、『一方聞いて沙汰するな』というのが基本で、今回の会見内容はあまりにも井上組長個人に対する誹謗中傷に終始しており、それが真実かどうか裏取りもできないし、会見で質疑応答もなかった。これを真正面から扱うのはどこも難しいのではないでしょうか」
 
 また、今回の記者会見の内容は、任侠山口組内部であっても事前に箝口令が敷かれていたと話す関係者もおり、会見後に知ったという内部関係者も多かったようだ。
 

神戸山口組は今でも一枚岩の証

 では、業界の反応はどうだろうか。あるヤクザはこのような感想を口にした。
 
「時代が変わったのか、警察の締め付けがきつくなったのか、1980年代、四代目山口組を良しとしない勢力として一和会が誕生した際も、メディアの取材を受けているが、ここではこう言い放った。『ケンカはする。来たらやる』と。現にそこから山口組と一和会の抗争は死傷者が複数出るほど激化していくのだが、それが今では、向こうが何か文句を言ってくるのであれば、『正々堂々と会見を開く』と言う。ヤクザがヤクザでなくなっていってる気がしてならない」 
 
 市民にとっては抗争などもってのほか。言論で闘うという向きは歓迎したくなるだろうが、これまでのヤクザの世界では違和感があることと受け止められる。だが、任侠山口組は、表向きには言論で闘うというスタンスを崩さない。まさに時代は変わりつつあるのだろう。
 
 また、神戸山口組のある関係者は、こう指摘している。
 
「会見内容を読むと、まるで入江組長と池田組長が井上組長に呆れているように書かれてあったが、会見翌日の28日には、二宮の事務所に井上組長を始め、入江組長や池田組長を含む全執行部が集まっている。これが答えで、向こう (任侠山口組)が言うように、入江組長らが本当に井上組長に批判的なら、会合に欠席するなどして、ぎくしゃくしてるように見えるのではないか」 
 
 このことは捜査関係者にも確認されており、神戸市二宮にある神戸山口組事務所には、ほかに今回の会見場所となった尼崎市を本拠とする三代目古川組の古川恵一総裁と仲村石松組長の姿もあったようだ。
 
 また、六代目山口組系幹部も批判的な意見を述べている。
 
「実際、神戸山口組が結成された際には、久しぶりに熱いものが込み上げたのは事実や。自分が正しいと思ったものに命を掛ける。こっちは認めるわけにいかんし、相手もそれに向かってくる。お互いそれで懲役に行った者もいる。結局、ケンカが好きでヤクザになったもんばっかりやねんからな。でも今回はどうや。記者会見を開いたり、不満をもらしたり、そんなことばかりやないか。そもそもヤクザとは、親が白と言えば黒でも白なんやろ。親方の機嫌ひとつで、怒られたり理不尽な扱いを受けたりするのは当たり前の世界やないか。それが嫌なら辞めたらええ。単純な話や。使途不明金て(会見で指摘された、四代目山健組の使途不明金問題)、一般の企業とは違うんやで。そんなん聞かされても一般の人に理解してもらえるか。『臨時徴収や』と言われたら、言われた金をつけるのがヤクザで、それが個々の器量やねんで。それでパンクした者も、ぎょうさんいてる。会費が減る、当番が減る、それはありがたいよ、誰でもな。でもそれを否定することで共感を得れるか言うたら、違うやろ。ヤクザやってたら、聞かれたらまずいことって誰かてある。それを『言うぞ』と言われてもな」 
 
 こう話しながらも、印象としては、どこか冷めているようにも、興味がないような印象にも見えた。
 
 こうした批判的な意見が出るのも任侠山口組としては想定内のはずだろうが、それでも今回会見を行った裏側には、どんな事情があるのだろうか。ただ言えることは、暴力団対策法や暴力団排除条例のみならず、当局による組織への締め付けがさらに進んだことが、空前絶後の分裂劇の中においても抗争勃発の抑止力として作用しているということだろう。一方で、そうした締め付けが組織運営を圧迫し、分裂という事態を生み出したといえるのかもしれない。山口組の統一や反社会勢力からの脱却といった高い目標を掲げる任侠山口組が、今後どんな動きを見せるのかが注目される。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。去年10月、初単行本『生野が生んだスーパースター 文政』(サイゾー)を刊行。最新刊は『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(同)。

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