告発状の受理は真相究明の突破口
前出「森友・加計告発プロジェクト」代理人の大口昭彦弁護士は、告発から受理に4カ月もかかったことへの腹立ちを口にしながら、「受理されたことは、大きい。受理されたことによって、もし検察が立件しなければ、市民自ら検察審査会に訴え、起訴・立件する道が法律上保証されることになる。それは、今回移送された大阪地検特捜部に真剣に捜査に取り組ませる要因ともなる」と語る(リンク:背任罪の告発状)。
つまり、森友問題を籠池氏逮捕で幕引きしたいと考えていた安倍政権は、この背任罪の受理によってそうはいかなくなった。
また前出「市民の会」の八木啓代代表は、「幾重にも完璧に要件を満たした告発状を不受理にすることはできなかったのでしょう」とやはり東京地検による告発状受理が遅れたことに感想を述べながら、「国民の注視の中、特捜検察が決定的に存在意義を失いかねない事態のもとで、どういう判断が示されるのかが楽しみ」と大阪地検の捜査に厳しい視線を送っている(リンク:公用文書毀棄罪の告発状)。
森友告発プロジェクトでは、5月22日の告発状提出以降も、その後わかった関連情報を東京地検に追加で提出してきた。
6月18日には、豊中市への情報公開請求で資料「平成23年度大阪国際空港場外用地(0A301)土壌汚染深度方向調査業務報告書」(2012年2月/大阪航空局作成)が見つかった。そこに示された地層図や柱状図によって小学校建設予定地の3m以深にごみがないことが記載されていたが、この資料は今回の格安払い下げ時に3m以深に2万トンの埋設ごみがあると算定した大阪航空局自身が、算定の4年前に作成していたものだった。つまり深部にごみがないことを知りながら、8億円の値引きのために2万トンのごみを虚偽に仮装していたことを示す重要な資料であり、背任罪の要件である「故意性」を示す決定的な証拠であった。
さらに7月7日には、森友学園の建設工事の元受け事業者(藤原工業)が大阪府豊中市に提出した公文書「産廃マニフェスト」によって、2万トンのごみがなく、そこには194.2トンのごみの記載しかなかったことがわかったが、埋設ごみがなかったことを意見書として届けていた。しかも記載されていたごみは「新築混合廃棄物」であり、埋設ごみはなかった。