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任侠山口組に名門組織「大平組」が三代目として名称を復活し、加入…背景には織田代表の厚い人情が!?

文=沖田臥竜/作家
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任侠山口組に名門組織「大平組」が三代目として名称を復活し、加入…背景には織田代表の厚い人情が!?の画像1任侠山口組・織田絆誠代表

 先勝となった10月1日。兵庫県尼崎市に本拠を置く、三代目山口組からの名門組織「大平組」の伝統を受けつぐ大興會が、封印していた金看板を復活させ、三代目大平組として任侠山口組に加入することを表明した。暦にある六曜のうち、先勝とは午前中に大事な物事を行うと良い方向に運ぶという考え方がある。事実、任侠山口組からは1日の午前中、三代目大平組が加入することを告げる通達が関係者に出されたという。

「御通知

本日10月1日付を以って
元古川組内大興會々長中村彰宏が
任侠山口組直参警護隊として
再起する事となりました。
尚、これを機に名門大平組三代目を継承し
併せて組織名を大興會から三代目大平組へと変更致します」

 大興會とは、兵庫県尼崎市に本拠地を置く組織で、その勢力は尼崎をはじめ長野県を中心とした甲信越地方や鹿児島県にまで伸びている。発足したのは平成26年。二代目大平組・中村天地朗組長の引退に伴い、同組のナンバー2であった中村彰宏若頭(当時)が、その地盤を引き継ぐかたちで「大平を興す會」として結成。六代目山口組二代目古川組(当時)に「預かり」という立場で参画していた。

 その後、二度にわたる山口組分裂という空前絶後の事態に直面するが、神戸山口組の分裂の際、中村彰宏会長が社会不在ということから、神戸山口組にも任侠山口組にも加入することなく、「大平組」の由緒ある伝統を守りながら独立独歩の道を歩んでいた。それが、ここに来て任侠山口組への加入を表明してみせたのだ。その背景には何があったのか。

五輪候補にもなった腕っぷし

 先にも触れたように、三代目大平組組長となった中村組長は、現在刑務所に服役中である。そうした三代目中村組長に温かな気配りを見せ続けていたのが、任侠山口組の織田絆誠代表だったのだ。その気配りは、留守を預かる執行部に対しても同様であったという。

 その織田代表の情を義理と重んじた中村組長が、織田代表襲撃事件の余韻もまだ冷めやらぬこの動乱の時期だが、あえてここで義理を返すのが男であるとして、獄中の身でありながら任侠山口組への加入を選択したのではないだろうか。

 著者自身、三代目中村組長のことは良く知っている。それは、著者にとって中村組長は、二代目大平組に在籍していた際の上司であったことだけではなく、同じ小中学校の二つ下の後輩だったからでもある。

 十代の頃から、先代の中村天地朗親分の実子だったこともあり、「若」の愛称で呼ばれ、ケンカ負け知らずの腕っぷしならを誇っていた。その腕力を生かすために、中学を卒業すると同時に関東のレスリング名門校に進学。大学を卒業する頃にはレスリングの世界で名を馳せ、一時はオリンピック候補になったとまで言われるほどだった。そのころの後輩が、後に総合格闘技で一世を風靡した山本KID徳郁選手だったことは、この業界では有名な話である。

 その後、尼崎へと帰ってきた三代目中村組長は右翼団体を結成し、先代中村親分の勧めで同じ安原会系(安原会系統とは三代目山口組で若頭を務めた組織で、同会から山健組を始め多くの名門組織を直参へと昇格させている)の名門組織、心腹会でヤクザ渡世の修行を積むこととなった。そして修行生活を終えると、満を持して先代中村親分の盃を受け、瞬く間に同組の若頭へと駆け上がっていった。大学時代には法学を専攻していたことから法律の知識にも長けており、複数の逮捕・起訴歴のなかで、裁判で無罪を勝ち取ったこともある。

引退しても親を慕い続ける子の心

 ただ、今回の名称復活及び任侠山口組への加入に際し中村組長は、先代中村親分に事前に相談するようなことはなかったはずだ。先代中村親分という人は、昔気質で何より筋というものを重んじ、同じ安原会系の流れを汲む山健組(現在は神戸山口組の中核組織)という組織を大事にし続けてきた。

 それを大平一門の面々は誰しも理解している。だからこそ、三代目大平会が山健組と反目となった任侠山口組に加入することは、先代中村親分には相談せず秘密裏に進めたのではないだろうか。非難されることが予想される決断に、先代を巻き込みたくなかったはずだ。

 引退しても親を慕い続けるからこそ、あえて迷惑をかけるようなことはしない--。著者が現役時代、身を賭(と)し汗を流した二代目大平組は、そういう伝統のある組織であった。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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