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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

今の人類が未確認の物理現象、これから次々に解明か

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 2017年のノーベル物理学賞は、「レーザー干渉計『LIGO』を用いた重力波観測への多大なる貢献」に対して、アメリカ人の研究者3人に贈られました。

「重力波」とは、100年前にアルベルト・アインシュタインによって存在が予言されていた、宇宙空間に発生するさざ波です。海にさざ波があるのと同様に「宇宙空間にもさざ波がある」と、アインシュタインは予言していたのです。

 重く大きい鉄の塊はもちろん、人間をはじめとする重さのある物体は、すべて周辺の空間をゆがませます。その物体が重ければ重いほどゆがみ方は大きくなりますが、実際には非常にわずかなゆがみなので、私たちは認識することはできません。「2×10の27乗t」という、言葉では表現することができないほど重い太陽を観測して、やっと空間のゆがみを確認することができます。

宇宙空間のゆがみのイメージ(提供=SXS)
 そして、空間をゆがませている物体が移動すると周辺の空間のゆがみも一緒に移動するため、「ゆがみの波」が発生します。これが重力波です。

 波はさらに観測が難しいので、今の人類の技術では観測することができません。仮に、巨大ブラックホールのようなとてつもなく重いものが急加速しながら宇宙空間を移動するような現象が起きれば、やっと観測できるかもしれません。

ブラックホール同士の衝突で重力波を初観測


 人類が初めて重力波の観測に成功したのは、15年(報告は16年)のことでした。このとき、2個のブラックホールが衝突するというすさまじい天文現象によって放出された重力波を、地上に設置された重力波望遠鏡「LIGO」がキャッチしました。LIGOは、長さ4kmの観測装置2基を組み合わせて空間のゆがみを測定する望遠鏡です。

 重力波は、光と同じように天体観測に使用することができます。LIGOが重力波の観測に成功したことによって、人類は宇宙観測の新たな手段を手に入れたといえます。

 しかし、全長4kmの巨大検出器であるLIGOでさえ、観測できるのはごくわずかです。十数億光年の彼方(宇宙の大きさからすれば、決して遠くはありません)でブラックホールが衝突するという、すさまじいエネルギーが放出される特殊な天文現象が起きて、やっと観測することができます。

 より遠くのより暗い星を観測するには、より巨大な望遠鏡が必要であるのと同様に、宇宙誕生の重力波のような、より遠くのより小さな天文現象から発生した重力波を観測するには、さらに巨大な重力波望遠鏡が必要になります。

 ところが、地球は丸いので、LIGOよりもさらに大きな検出装置を地上で建設したとしても、地球のカーブに沿って曲がってしまい機能しません。さらに、建設コストも莫大な金額になります。

 そこで考え出されたのが、「宇宙空間に重力波観測装置を設置しよう」というアイデアです。宇宙空間であれば、いくらでも直線距離を稼ぐことができます。

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