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【座間9人遺体】アパート所有者、事故物件化で一斉退去や入居者激減で莫大な被害の懸念も

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9人の遺体が発見されたアパート(AFP/アフロ)

 また痛ましい事件が起きました。神奈川県座間市のアパートの1室から、9人もの遺体が発見されました。報道によれば、2カ月前に入居した男性がクーラーボックスに遺体を損壊したうえで遺棄していたとされています。事件の実態解明はこれからですが、文字を追うだけでも凄惨な事件であることは間違いありません。

 こうした殺人事件や死体遺棄事件などでは、殺害された被害者やその家族の方が最大の被害者であり、その心境は筆舌に尽くし難いものでしょう。一方で、不動産業界に身を置く者としては、こうした事件がアパートなどで起こるたびに、その現場となった建物の所有者も被害者のひとりであり、その所有者の今後にも暗い影を落とすことになるだろうと考えてしまうのです。

 殺人事件や放火のようにメディアで報道される事件以外でも、自殺や孤独死など事件性がない事故が発生した物件や火災などが起きた物件は「事故物件」と称されます。昨今では、事故物件への注目度も高まっているようです。

 不動産業界では、新たな入居者が心理的に嫌悪感を示すであろう状況があった物件では、次の取引の際、「心理的瑕疵」として重要事項説明書に記載し、口頭で説明しなければならないことになっています。

 事故物件となると、賃貸・売買を問わず周辺の不動産相場からは相当の値引きをしなければ入居者または購入者が決まらなくなってしまい、不動産を所有するオーナーにとっては、資産価値が下がり非常に大きな痛手となります。特に、不動産を購入した際にローンを利用していた場合、賃料や売買価格が著しく下がってしまうとローンの返済に支障を来してしまいます。最悪の場合、ローンの返済ができず、不動産を手放すだけでなく、自己破産するなど、その後の人生を狂わす事態に発展することもあり得るのです。

 今回の事件もそうですが、大きく報道に取り上げられるような事件の現場になってしまうと、近隣住民はもちろん、インターネット上でも物件が特定されてしまい、長期間にわたってその物件は事故物件として大きな落胤が押されてしまいます。さらに、同じ物件に住んでいた入居者も、事件現場となった嫌悪感から退去が相次ぐことも往々にしてあります。こうなると、入居者は減るうえ、売るのも難しい物件となってしまうのです。

 今回の事件の物件が必ずそうなるとはいえませんが、当該不動産のオーナーも間違いなく事件の被害者なのです。

事件事故の損害に対する回避策はない?

 残念ながら、事件や事故はいつ、どこで、誰が起こすのか、まったく予測がつきません。今回の座間市の事件も、容疑者は2カ月前に入居したばかりだったと伝えられています。しかも、急いで入居(契約)したとの報道もあります。後から思えばあやしい点もありますが、その時点ではごく普通のことと感じられたでしょう。かえって、ありがたい入居者として映ったはずです。従って、特定の入居希望者をあらかじめあやしいと判断して回避することは非常に困難であるといえます。事件や事故は、ある意味では自然災害と同じで予想は難しく、オーナーにとっては想定外のことなのです。

 自然災害であれば、火災保険や地震保険への加入である程度損害を補てんすることができますが、事件や事故に対しては、相応の保険がほとんどありません。ごく一部に事件事故を含む入居者の死亡などに対して原状回復費用や一時的な賃料を補償する保険がありますが、大きく報道された物件であれば、オーナーが被る被害のほんの一部を補うにすぎません。

 不動産投資が盛んな昨今ですが、こうした現実に起こっている事件や事故に対する不動産が持つリスクまで理解して不動産を購入している方はほとんどいないのではないでしょうか。

 事件や事故は、発生率そのものは低く、ましてや自分の所有する物件で発生する可能性は非常に低いものかもしれません。それでもこうしたことが身近で起こり得る可能性があることを、不動産投資など賃貸経営をする方には理解してもらいたいと思っています。

 そして、職業病かもしれませんが、こうした事件が報道されるたびに、映し出された不動産オーナーのことも考えてしまうのです。
(文=秋津智幸/不動産コンサルタント)

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