トランプ米大統領が11月5日から14日まで就任後初めて日本、韓国、中国などアジア5カ国を歴訪するが、ホワイトハウスが作成した当初の歴訪予定に韓国は入っていなかったことがわかった。これは、トランプ氏自身がリベラルな考え方をもつ文在寅・韓国大統領に不信感を抱いていることが大きな要因だという。
ジョージ・W・ブッシュ大統領当時、国家安全保障会議(NSC)アジア担当上級部長を務めたマイケル・グリーン氏が、韓国メディアに明らかにした。さらに、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がソウル滞在中のトランプ氏を狙ってミサイル攻撃を仕掛ける可能性も考えられるだけに、「トランプ大統領が金委員長を刺激しないように」との韓国側の助言を受け入れ、トランプ氏は米国の歴代大統領が韓国訪問の際に必ず訪れている北朝鮮との軍事境界線に隣接する非武装地帯(DMZ)の視察を見送るという。
アジア歴訪の真の目的
グリーン氏は現在、ジョージタウン大学准教授と戦略国際問題研究所(CSIS)の上級副所長(アジア)兼日本部長を務めており、このほどトランプ大統領の訪韓について、韓国紙「中央日報」と会見している。
その際、グリーン氏は「ホワイトハウスは初めは訪韓はなく日本だけに行きたかったものと考える。しかし、多くの専門家が韓米同盟で強力な連帯を示さない場合、北朝鮮を抑えることはできないと説得して訪韓日程も含まれることになったと聞いた。結局、訪韓の第一目的は北朝鮮であることが明らかだ」と指摘。また、韓国側が「韓米両国の密接な連携を見せつけなければ、北朝鮮につけ入る隙を与える」などと猛反発したことで、ホワイトハウスは在韓米軍基地の視察や米軍兵士の激励などを理由にトランプ氏の韓国訪問を決めたという。
これを受けて、同紙記者が「今回のアジア歴訪の真の目的は訪日という意味か」と質問したのに対し、グリーン氏は次のように答えている。
「私の言いたいことは、トランプ大統領は安倍首相が好きだという意味だ。安倍首相は理念的にトランプ大統領と近く、北朝鮮問題に対してはるかに強硬だ。私は文大統領が個人的に好きで尊敬しているが、彼は非常に温和な性分だ。トランプ大統領はこれを弱気と見ている。日本の場合、トランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)脱退を宣言した後、韓国のようにFTA(自由貿易協定)のような再協議や大きな摩擦を起こすような事案がない」