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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国大統領、訪中で歴史的冷遇…日米との合意を勝手に破り、中国に屈辱的擦り寄り

文=渡邉哲也/経済評論家

 そもそも、北朝鮮という国家を生み出したのは旧ソビエト連邦といえるわけで、北朝鮮を「六者会合」の場に引っ張り出してきたのも旧ソ連だ。旧ソ連は、北朝鮮をさまざまな面から支えてきたものの、朝鮮戦争の休戦協定には参加しておらず、いわば裏で北朝鮮をコントロールしてきた。しかし、旧ソ連の崩壊に伴い、北朝鮮は中国との距離を縮めてきた経緯がある。

 11月に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した背景には、アメリカによる「テロ支援国家」再指定があることは明白だ。アメリカの実力行使に北朝鮮が反発するという構図で再び情勢が緊迫化したわけだが、そこでロシアが出てきたという事実は、北朝鮮情勢が新たな局面に入ったことを意味する。

 米朝間で軍事オプションの行使が現実的に視野に入り始めたことで、ロシアとしても動かざるを得ない状況になったといえるのではないだろうか。日米は早い段階から中国だけでなくロシアの協力を仰いできたが、アメリカでは「ロシアゲート」などの問題もあり、ドナルド・トランプ政権は積極的に動けない状態が続いていた。もともと、ロシアは中国と並んで北朝鮮問題のキーマンと見られていただけに、今後の対応は注目に値するだろう。

米国、3月までに北朝鮮へ軍事攻撃の可能性も

 今、北朝鮮からの木造船が日本海沿岸に漂着することが問題になっているが、11月から3月までは日本海が荒れているため、仮に朝鮮半島有事が勃発しても難民が日本海を渡ってくるというリスクが少ない。

 そのため、日本側とすれば、アメリカが軍事行動を取るのであれば、その時期がベストということになる。アメリカとしても、核弾頭を搭載したICBMの実戦配備が完了するとされる2018年前半までに、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させたい。そう考えると、軍事行動のタイムリミットは「3月まで」がひとつのメドになる。

 また、2月には韓国で平昌オリンピック・パラリンピックが開催される。「平和の祭典」である五輪の前に朝鮮半島有事が起きるのは最悪の事態であり、それは国際社会も望んでいない。万が一、五輪開催中などに衝突が起きれば世界中から集まった多くの人々が人質になってしまう可能性もあるわけで、その際の安全保障も重要な課題になるだろう。

 いずれにせよ、年末年始も北朝鮮情勢は予断を許さない状況が続きそうだ。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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『日中開戦2018 朝鮮半島の先にある危機』 今後の安倍政権の課題だが、まずは北朝鮮の問題、そしてその後には安全保障上の問題として中国の問題がある。中国では、10月の共産党全国大会で、習近平体制がますます磐石なものとなった。そして先祖返り的に「新時代の中国の特色ある社会主義」が推し進められようとしている。今後は、政治的にも経済的にも中国との間にますます軋轢が増えるだろう。そういう意味では、すでに日中間の戦争が始まっているともいえる。 世界各国でも、ナショナリズムを掲げる政党が躍進しており、まさに冷戦時代へ巻き戻った。このような世界の大きな流れを踏まえた上で、あらゆる角度から日本と中国の現状を分析することで、戦争の可能性について探っている。 amazon_associate_logo.jpg

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