空気が乾燥してくる季節には、インフルエンザウイルス、ノロウイルスの活動が盛んになってきます。人が集まる場所や電車の中などには、必ずウイルスがいると思うことが大切です。電車のつり革や手すりにはウイルスが付いていると考えましょう。
ウイルスが口の中などに入らないように、外出から家に帰って来た時や食事の前には、確実に手を洗うことがウイルスから身を守る一番の方法です。
外から自宅に戻って来た際、ドアの鍵を開け、コートを脱いで玄関の所定の場所に掛けます。コートなどを来たまま居間や寝室まで入ってしまうと、コートについたウイルスなどを持ち込むことになってしまうので、玄関で脱いで掛けることが大切です。コートを脱いだら、他のドアを触ることなく、まず手を洗い、うがいをします。手洗いは洗剤をつけ、よく泡立て、30秒以上泡立てたまま洗うのがポイントです。洗剤にこだわるよりも、十分に泡立てて手を洗うことが必要なのです。指は一本ずつこすり、手首まで洗います。30秒は、「ハッピーバースデー」の歌を2回歌うくらいの時間です。
うがいも「がらがら」を30秒行います。手洗い・うがいは、家の中のドア、電気のスイッチなどに触る前に済ませましょう。手洗いの水道にも注意が必要です。最近の水栓は、上げると水が出て、下げると止まるタイプが多いので、手を洗う前に触った箇所を、洗った後に触ることがないように気をつけましょう。
また、トイレの後に手洗い後はペーパータオルの使用が必要です。共用のタオルを使用すると、いいかげんに手を洗う人がひとりでもいると、タオルからウイルスが手に移ってしまうからです。
居間のドアノブ、寝室のドアノブ、電気のスイッチなど手が触れるところは、外から帰って手を洗った後でなければ触らないようにしましょう。家の玄関以外にはウイルスを持ち込まないように意識することが大切です。さらに、居間、寝室などは湿度の管理をしましょう。インフルエンザウイルスは湿度に弱いので、加湿しておくことで感染予防ができます。
手が触れるところは定期的にきれいにする
ウイルス感染した方が家庭内で発生したときはもちろん、インフルエンザが流行している季節は、定期的に手が触れるところを塩素系漂白剤で拭くことが必要です。特にノロウイルスには、塩素がもっとも効果的です。ドアノブ、電気のスイッチなど手の触れる所、便器の水を流すレバー、鍵などもきれいに拭きます。塩素系の洗剤で拭くと、一部のステンレスや鉄などの素材は、すぐに錆びてしまいます。その場合、磁石が付かないタイプのステンレス素材に交換すると、拭いても錆びることなく、常にきれいな状態を保つことができます。
家庭内だけでなく、外食時にも30秒以上の手洗いが必要です。手を洗った後に、ドアノブなどに触れることなく食事ができるところに手洗い場が必要なのです。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表)