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女子大生強姦・殺人事件、フィリピン人男性に無期懲役…警察、13年目の執念の逮捕劇

文=田村建雄/ジャーナリスト
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 その後、ランパノは、事件直後フィリピンに帰国。しかし事件の2年後にフィリピン人女性と結婚、8年前、家族4人とともに再入国して岐阜県の自動車関連工場に勤務していた。

「事件は急展開したのです。捜査員が数年前に岐阜を極秘訪問し、ランパノのDNAを極秘採取した。それがHさんの手のひらに残されていたDNAと一致したのです。捜査本部では残りの仲間2人も犯行に加わった可能性が高いと推測、その当時、2人はフィリピンに帰国していたため、なんとか同時逮捕を模索。だが日本とフィリピンに容疑者引き渡しの条約もないため捜査は難航。そんな折、ランパノ被告がフィリピンに帰国するとの情報がもたらされたため、残りの仲間をあきらめて昨年9月に緊急逮捕となったのです」(捜査関係者)

 そして今回7月17日から始まった裁判員裁判の公判の検察側陳述で、さらに驚くべき事実が判明した。

 ランパノたちは事件前日、ランパノの部屋で酒を飲んだ。そしてコンビニに出かけ、その車の中で「女性強姦」を決めた。そして深夜自転車で走行するHさんを見かけ自転車の前に車を止め、自転車を制止、Hさんを車に押し込んで強姦し、空き家に連れ込み殺害したという。

 ランパノたちは初めから、強姦後に殺害しようと決めていた節がある。仮にHさんでない女性が同じ時間帯に同じ場所を通りかかっていれば、その女性が犠牲になった可能性さえあるのだ。その犯人たちの精神構造に震撼する。

求められる真相究明

 事件は2004年、小泉純一郎政権の時代に起きた。プロ野球では楽天とライブドアが新規参入争いを演じ、韓国ドラマ『冬のソナタ』がヒットして世の中には韓流ブームも巻き起こっていた。深夜に帰宅する女性は数多かったが、強姦して殺害する外国人グループが徘徊していたなど、当時取材していた私にはピンとこなかった。捜査関係者の間でも「怨恨説」が大きなウエイトを占めていたのも納得できる。

 一方では、こんな話もある。フィリピンの事情通は語る。

「フィリピンに逃亡している犯人のひとりが、Hさんと顔見知りで、それでHさんが狙われたという情報がある」

 偶然Hさんを見かけ狙ったのか、あるいは最初からHさんを狙ったのか。ランパノは逮捕され取り調べを受け、地裁判決も出た。だが、まだ真相がすべて明らかになったとは言い難いのだ。

 さらなる真相解明の意味でも、フィリピンに逃亡している2人のフィリピン人容疑者を拘束し、詳細な真相解明にこぎつけることが必要だ。なぜ未来ある若者がいとも簡単に命を絶たれたのか。なぜ犯行グループは殺害しなければならなかったのか。ランパノの公判だけでは納得できないこともある。

 すべての真相が見えない限り、被害者も遺族も、そして犯人逮捕をあきらめず節目節目で目撃者捜しのビラを配り事件風化を防いできた友人たちも納得できないのではないか。さらなる捜査のためにも親日家といわれるフィリピンのドゥテルテ大統領の協力、英断を望みたい。ランパノ被告は地裁の無期懲役判決後に「真摯に反省している。有期刑を」と控訴した。
(文=田村建雄/ジャーナリスト)

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