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競馬大吟醸 -儲かってる人々-「梅ちゃんよ、許せ。俺は大阪杯に生きる」

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「AC photo」より

 春の選抜甲子園も終わって、昼間の時間を持て余すようになった私は、酒が飲める場所を求めて近くの通りをぶらついていた。しかし、5分も経たぬうちに思い切って薄着をしてしまったことを後悔し始め、どこでもいいからさっさと店に入ろうと路地を曲がったのだ。

 地元の知る人ぞ知る小道を抜け、神社の裏手に回ると梅ちゃんが営む江戸前寿司屋がある。どうせ暇してるだろうとあたりをつけて暖簾(のれん)をくぐると、梅ちゃんは珍しく熱心に競馬の予想をしていた。

 確かに今週の大阪杯にはラブリーデイ筆頭に凄いメンバーが集まったし、予想にも熱が入るというものか。脇から新聞をのぞき込むと、梅ちゃんが赤ペンを走らせているのは、なんと日曜中山の条件戦だった。

 金曜日とはいえ、平日から梅ちゃんがメインレース以外の検討をするのは珍しい。このレースに何か気になる馬でもいるのか聞いてみると「そりゃ、おめえ軸はモウカッテルで決まりよ」と威勢のいい答えが返ってきた。

 いつもは大学の名誉教授並みに"堅い"馬券しか買わない梅ちゃんが、人気薄のモウカッテルから入るのには、れっきとした理由がある。

 商売人である梅ちゃんは、昔から縁起物にはとにかく目がない。ずっと昔に、マチカネワラウカドとマチカネフクキタルという馬の馬券を「『待ち金』に『笑う門』と『福来る』だそ。ありがたや、ありがたや」と買い続けると、2頭ともずいぶん活躍した。

 特にマチカネフクキタルに至っては菊花賞を勝つまで出世したせいもあって、梅ちゃんもかなり儲けたらしい。それからは私が知っているだけでも、イチゴイチエ(一期一会)にフクラムサイフ(膨らむ財布)など、梅ちゃんは縁起のいい名前の馬を見つけては無条件で買い続けているのだ。

「『儲かってる』だぜ。こんなに縁起のいい名前の馬は、そうそういるもんじゃねえ」

 まあ、こうして平日の真昼間から競馬予想に明け暮れていても店が潰れないのは、数々の"縁起物"に対する梅ちゃんの奉仕の賜物なのかもしれない。だが、さすがにモウカッテルは厳しいのではないか。それも乗っているのは、まだJRAで勝ったことがない新人の藤田菜七子だ。

 私がその旨を梅ちゃんに話すと、本人はまったく意に介していない様子で「菜七子の初勝利は、この馬よ」と豪快に笑うのだった。

 それにしても過去にいい思いをしたのはわかるが、梅ちゃんは一度こうと思い込んだら、とにかく頑固一徹になるところがある。モウカッテルにしても、昨年の夏にデビューしてから早9戦。馬券に絡んだのは未勝利を勝った時だけで、あとは箸にも棒にも掛からない。

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