井原水産のHPより
そんな中、中国産ワインが本格的に日本に上陸してきた。輸入元は、札幌市に本拠を置き(本社・留萌市)、高級数の子で知られる井原水産。従来同社は、コート・デュ・ローヌやブルゴーニュ産ワインを輸入、ネットで直販してきた。
また同社の井原慶児社長は、ブルゴーニュワインの神様として知られる故アンリ・ジャイエ氏の畑で獲れたブドウでつくられた高級酒「ドメーヌ・アンリ・ジャイエ」を個人的に輸入し、ネット販売を行っている。
中国初の家族経営ワイナリー
そんな井原水産が昨年から輸入を開始し、今夏から独占販売をスタートさせた中国産ワインは、山西省にある中国初の家族経営ワイナリー、グレース・ヴィンヤード(怡園酒荘)社製の「シャルドネ」「カベルネ・ソービニヨン」などの高級ワイン。同社では、11月より寧夏回族自治区の小規模ワイナリー、シルバー・ハイツ(銀川高原葡萄酒荘)社の高級ワインも、併せて発売する予定だ。同社のワインは、すでに中国ではトップクラスのワインのひとつに位置づけられているほどだという。
今回の取引に関して井原社長は、「グレースのワインについては、2年ほど前に飲んで旨いと思ったので、以来注目していた。その後スポット的に仕入れたりしていたが、交渉の末、今回国内での独占販売権を得た」と語る。
一昔前、中国ワインというと「赤玉ポートワイン」風の甘ったるいものだったが、近年、フランスワイン、ことにボルドー産が若者やお金持ちを中心に好まれ浸透するにつれて、この国お得意の偽造ワインが著増しているといわれている。
そうしたまがいモノはともかく、中国ワインは最大手の「長城ワイン」などにしても、ワイン先進国のものと比較してみると、相当味が落ちることは否めない。「赤ワインといっても味がしない」などと酷評する向きさえある。
生産量で世界第5位に台頭
しかし14年には世界第6位のワイン消費国になるといわれるほど、急速に消費量が増えており、中国国内でも良心的なワインづくりを目指すワイナリーが増えつつあるようだ。すでに900余りのワイナリーがあり、その数は日本を大きく抜いてアジアナンバーワンだとされる。各ワイナリーの規模も日本のそれよりはるかに大きく、生産量は近年、世界第5位にのし上がった。
そうした中で、井原水産が輸入する2つのワイナリーは、比較的小規模経営で、オーナーの目が行き届き、生産管理、品質管理がしっかりしているところだという。現地事情にも詳しい同社ワイン事業部の鈴木慎一郎横浜営業所所長は、次のように話す。
「ブルゴーニュ産ワインは、ブドウ生産者が自らの畑で収穫したブドウを使ってワインをつくる点に特徴がある。われわれが今回輸入を始めたグレースも、そしてシルバー・ハイツも、地酒というか、ブルゴーニュ産的な手づくりに特徴がある」
フランス人醸造家の協力も