(「シャープHP」より)
■シャープが新安値、出資交渉決裂懸念が浮上 – サーチナニュース(10月9日)
まずはこちら。台湾大手・鴻海精密工業のあり方も含めて増資交渉が難航という話などが飛び出してシャープの株価がまたしても下落。マネーゲーム的な様相を呈しておりますが、まあ元から自力での再建は不可能という状態になっていたことを考えますと、このような乱舞状態になるのは致し方ないのかなと思ったりもします。
■シャープの削減1.1万人に拡大も、27日にも追加融資決定=関係筋 – ロイター(9月25日)
当然このままいくと何のセーフティネットもないままシャープが潰れてしまいかねませんので、削減と引き換えに主力銀行が協調融資に乗り出すという護送船団方式時代を彷彿とさせる幸せなころのジャパンが垣間見えます。問題は、2100億円の融資枠が設定されても赤字部門の撤退やリストラ費用などの黒字にするための費用さえも賄えないだろうと思われる点ですね。なぜ重病患者をここまで放っておいたのか、そちらのほうに関心がどうしてもむいてしまうわけです。
■“シャープ救世主”劣悪な労働環境 日本の製造業と相いれぬモノづくり思想 – Sankeibiz(10月10日)
その鴻海グループについては、製造現場だけでなく研究開発においても、高い競争力の土台は劣悪な就業環境の一因になってしまっているのではないかという興味深い記事が。もちろん、職はないよりまし、シャープを助けてくれるのであれば欲しい部門は子会社化してから譲渡というような流れになりますと、こういうところでシャープ社員が働くことになる可能性もあるのであります。
■シャープ株反発、アップル向け液晶パネル出荷拡大との報道 – ロイター(10月10日)
この原稿を書いている間に、シャープ株が謎の反発をしていたわけですが、アップルがシャープへ液晶パネルを大量発注するのではという材料が出たようであります。もっとも、一部のアナリストが言うにはシャープの現行ラインでは大幅増産したとしても乗る利益率は微妙ということで、必ずしも救世主のリンゴ現る、とはならないものの、干天の慈雨レベルの話になってくれるのでありましょうか。
■シャープの上を行くビジオの業務モデル 水平分業ですらもう古い – 日経新聞(10月10日)
シャープを他山の石としたい日本の産業界に対して、改めて業務モデルの解説をする記事、ではありますが、大槻智洋氏らしい抑揚の効いた文章の中に幾つか「おい、それは」と引っかかるものも感じる、非常に味わいの深い内容になっております。ほかの記事も併せて何度か読んでみると面白いかもしれません。
■企業撤退に苦しむ自治体 補助金頼みから転換する三重県 – WEDGE(9月24日)
「世界の亀山モデル」を輩出するシャープの工場誘致が地方経済再生のロールモデルになるはずが、なぜか戦犯に祭り上げられてしまい、三重県に結構な負担だけを残した結果となった敗軍の将、シャープを語っております。掛け値なしに面白いです。
■鴻海に踊らされたシャープの命運 – Foresight(9月13日)
異様なハイクオリティを誇るForesightでは、新田賢吾さんがなかなか興味深い記事を寄せておられましたのでピックアップ。まさに踊らされたという感じではあります。しかし他にシャープに関心を寄せる大手企業がなかなか現れなかった中で、文字通り都合の良い救済というものは存在しないのだということを思い返させてくれるという意味で、必読です。
■シャープ会長が「突飛なウルトラC」 – Facta(10月号)
その果てに、今度はFACTAが「シャープとインテルの合併画策」のウルトラCについて、「要は今の時期に交渉がまとまるはずがない」、鴻海との交渉過程も踏まえてしっかりとした解説記事に仕上がっています。救世主などいない、その一方で事態打開のためには他社に縋るほかない最終局面を巡るドタバタは、本業や社員を綺麗に置き去りにしている感じで美しいと思うわけですね。
■[おまけ]シャープ報道 新聞を読み比べるとこんなに面白い – WEDGE(9月4日)
加熱するシャープ関連報道を、マスコミ側の視点で読み比べたこの記事も興味深いです。それだけ、シャープという会社が日本にしっかり根付き、影響力の大きいブランドとして君臨してきたからでありましょう。ただし、実際にはもうすでに日本経済の中核は移り変わっていることを考えますと、あまりシャープを引っ張りすぎて古き良き「製造業に支えられた日本」に縋っても仕方がないのかなとも思うわけであります。