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ドコモ、iPhone投入でも過去最大純減のワケ〜発表時期、対応遅れる機能、「5」なし

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ドコモ、iPhone投入でも過去最大純減のワケ〜発表時期、対応遅れる機能、「5」なしの画像1「NTTドコモ HP」より
 携帯電話キャリアの業績を示す言葉に「純減・純増」というものがある。携帯電話を使うことをやめてしまったり、他社にMNP(携帯電話のキャリアをまたぐ番号継続サービス)で乗り換えてしまったりといった自社サービスを使わなくなった人数と、他社からMNPで乗り換えてきたり新規契約したりといったかたちで新たに自社サービスを使うようになった人数を比較して、新しく使う人が多くなった時は「純増」という。逆に、出ていった人のほうが多ければ「純減」だ。

 ここしばらく、NTTドコモは苦しい戦いをしてきた。人気機種であるアップルのiPhoneシリーズを、主要3キャリアのうち1社だけ扱っていないという状況の中、iPhoneを使いたい人は出ていくという流れができてしまっていたからだ。もちろん毎月負け続けということはなく、純増になっていた月も少なくはないのだが、好成績ともいえない状態だった。

 そうした中、9月にドコモでも、iPhone 5s/5cの発売をスタートした。しかし結果として、9月の成績はドコモが6万6800件の純減となった。これは過去最大のマイナス幅だ。

●iPhone発表タイミングの厳しさ

 なぜiPhoneを販売できるようになったタイミングで、ドコモの成績が悪くなったのか?

 理由はいくつか考えられるが、単純に「ドコモiPhone」発売発表のタイミングが微妙すぎたという感もある。

 ドコモからもiPhoneが出るという噂自体はずいぶん前からあった。今回の発売につながる報道の第一報は9月6日だったが、従来の流れで信じなかった人もいたはずだ。その後、ドコモショップの営業時間や、ドコモの社長がアップルの発表会に合わせて渡米したことなどから、9日頃にはほぼ確定だろうという空気が流れ始めたものの、実際の発表は日本時間では11日の深夜。発売が20日、と非常にめまぐるしいスケジュールだった。

 長く携帯電話やスマートフォンに注目してきた人ならば、ドコモの報道に対するコメントや、各種メディアの動きから早い段階で本当に「ドコモiPhone」が登場することが読み取れたかもしれない。しかし「ドコモでiPhoneが出たらいいなあ」と思っている程度の一般的なユーザーがそこまで情報を集めていたかというと、微妙なところだろう。

 当然、この時期に利用端末の2年契約が切れる人や、手持ちの端末が不調になっていた人の中には、ドコモiPhoneを待たずに乗り換えてしまった人もいるはずだ。発表されて10日弱の間に新機種に即座に乗換えると決断する人は、一部マニアのみで、それほど多くないだろう。「ドコモからiPhoneが出たならせっかくだからiPhoneにしてもいいな」という程度の人が、9月の集計に間に合っていないことは十分考えられる。

●間に合わなかったメール機能と独自サービス

 ドコモにとっても急すぎる発売決定だったのかもしれない。一般的な携帯電話やスマートフォンで使えるspモードメールが使えない状態で販売が始まってしまった。

 まず「docomo.ne.jp」という普通のspモードメールアドレスが使えるようになったのが10月1日だ。発売時点ではこのアドレスが使えない上に、利用可能になった後はユーザー自身が設定しなければならない。これでは、初めてスマートフォンを持ってみようという初心者は手が伸びないだろう。

 さらに10月に入っても、送ったら即座に届く、という動きは実現できていない。手動で受信するか、最短15分間隔でアプリが自動的に受信確認してくれるのを待つしかない。いわゆる普通の即時受信ができるようになるのは、2014年1月中旬以降だといわれている。これを待てる人は、今は機種変更やMNPの様子見をしてしまっているだろう。

 また、ドコモの既存ユーザーとしては「dメニュー」や「dマーケット」といった独自サービスがiPhoneで使えないことが不満かもしれない。これも年内には使えるようになる予定ということで、対応が遅れている。いっそiPhoneでは使えないということならば話は簡単だが、今販売されているものは未完成だ、という状態では利用に二の足を踏む人が出るのは仕方がないことだろう。

●「前のiPhone」がないことの辛さ

 もう1つの要素として、単純にiPhone 5s/5cの台数が足りなかったという問題がある。品不足はドコモに限った話ではないのだが、他社には1世代前の機種であるiPhone 5という武器がある。

 iPhone 5s/5cは、いわばマイナーチェンジだ。iPhone 5sに関してはハードウェア的に強化されたし指紋認証機能も搭載されたが、大きさや機能がiPhone 5とまったく違うというわけではない。iPhone 5cは廉価版としてiPhone 5とほぼ同等性能となっている。だったら、最新機種ではなくとも前モデルでよい、と考える人はいるだろう。

 KDDIとソフトバンクはiPhone 5の在庫を格安で販売した。MNPで乗り換えればキャッシュバックなどの特典もつく。最新モデルを求めていない人、買えなかった人に提供できるものがあったわけだ。

 メール機能やドコモ独自メニュー対応の立ち後れと、しばらく続くだろうといわれている品不足の影響を考えると、10月の成績が急上昇するとは考えづらい。迅速かつ問題のない状態でのメール等機能の提供と、他キャリアから流入を促すキャンペーンやサービスの充実が期待されるところだ。
(文=エースラッシュ)

BusinessJournal編集部

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