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東京に長屋が急増?頻発する地域住民とのトラブル、災害時には高い危険も

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東京に長屋が急増?頻発する地域住民とのトラブル、災害時には高い危険もの画像1「Thinkstock」より
 周りを民家に囲まれ、主要道路から奥まった場所にできた「路地状敷地」の有効活用として重層長屋が東京・世田谷区を中心に数多く建設されている。本来、東京都建築安全条例では、安全上の問題から、路地状敷地に共同住宅は建設できないが、「長屋」であれば見た目が共同住宅と変わらなくても建設が許可される。一方で、近隣とのトラブルも相次いでいるという。重層長屋がある近隣住民は、「共同住宅とまったく同じ構造の重層長屋が火災になったら、周辺が火の海になる恐れがある」と懸念している。

 路地状敷地とは、間口が狭く、通路のように長い路地状の敷地部分の奥に建物のスペースがある敷地のこと。上空から見ると旗ざお形状の土地になっているため、別名「旗ざお地」ともいわれる。

 そもそも建築基準法では、民家に四方を囲まれている住宅地を分割する場合、各土地は道路に2m以上接していなければならないとされている。そのため、道路から奥まった所にある敷地は道路までの通路を確保するため、路地状敷地が形成される。しかし、火災時などの避難に支障が生じやすいために、東京都建築安全条例で、マンションなどの共同住宅を建てることが禁じられている。

●格安で購入できる路地状敷地

 共同住宅が建てられないのであれば、個人宅を建てるほかに利用価値のない土地のはずであるが、ここ数年、路地状敷地が不動産業界でにわかに注目を集めているという。世田谷区にある不動産業者は、路地状敷地が市場に増えている理由を「相続税対策のためだ」と分析する。

「相続税対策として土地を手放す人が増えています。世田谷区の場合、広い敷地を持つ人が多く、敷地の半分を売る場合が多い。そうすると、路地状敷地が市場に出回ることが増えるのです」(同)

 2013年度の税制改正で、15年1月1日以降に発生する相続税の基礎控除額は5000万円から3000万円に、法定相続人1人当たりの控除額は1000万円から600万円にそれぞれ引き下げられる。つまり、相続税の増税時代に突入するといえる。それによって、来るべき相続税対策として土地を手放す人が増えているという。

 一方、買い手目線で見ると、路地状敷地は使い勝手が悪いことから、普通の土地に比べて格安で購入できる。不動産業界では、路地状敷地は「くず地」とも呼ばれ、建築制限があるために避けられてきたが、こうしたくず地が格安である状況に不動産デベロッパーが目を付けた。路地状敷地のオーナーには「くず地ですから、売ったほうがいいですよ」と働きかけて安く買っておいて、土地購入希望者には「高級住宅地」をアピールして買い取りを持ちかける。加えて、共同住宅は建てられないが、長屋であれば建築可能であると提案をするわけだ。

●共用部分がなければ、実質的な共同住宅も建築可能

 一般的に長屋といえば平屋をイメージするが、2階建て以上の長屋も少なくない。集合住宅は長屋とマンションなどの共同住宅とに分けられるが、その区別は廊下や階段などの共用部分があるかどうかだけで、共用部分がなければ長屋となる。

BusinessJournal編集部

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