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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

ディズニーR、深刻な客離れとブランド毀損の非常事態…4年連続値上がりが失敗か

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役
ディズニーR、深刻な客離れとブランド毀損の非常事態…4年連続値上がりが失敗かの画像1東京ディズニーリゾート(「Wikipedia」より/mekarabeam)

 東京ディズニーリゾート(TDR)の1日入場料の推移を見てみると、以下のように4年連続で値上がりしている(2015年は消費増税が要因)。

・13年:6,200円
・14年:6,400円
・15年:6,900円
・16年:7,400円

 この値上げ幅はさておき、4年間も連続して値上がりすることにより、TDRのイメージダウンを引き起こしていると考えられる。毎年少しずつ値上げをするたびにニュースとなり、マイナスの話題となってしまい情報が拡散していく。そんなデメリットが大きい価格設定戦略をなぜとっているのか、不思議でならない。ブランド自体ではなくパークが全て上から目線での戦略だからだと感じる。

 入場者数をみると14年は上昇しているものの、公式発表資料によると今年はわずか2%、8万人程度しか伸びていない。注目すべきは昨年15年度の入場者数だ。前年比3.8%減の3,019万人と100万人以上の減少と危機的な状況で、開業以来30年もかかって4年前にやっと2013年に達成した3,000万人の壁をかろうじて死守した。公式発表目標予測である3,040万人をも割り込む結果となっている。

 このような非常事態的な状況ゆえに、値上げは2年ごとにするなど間隔を空けなければ「金儲け主義」と消費者には映ってしまうだろう。通常のマーケティング戦略ではほとんど使われない駄目な方法といえる。

値上げによるメリットとデメリット

 メリットとしては、顧客に急激な価格変化を感じさせないことくらいだろう。値上げで新アトラクションが素晴らしくなったと思う顧客がいるかもしれないが少数だ。デメリットのほうは大きく、毎年少しずつ値上げをすることによりニュースとなり、ブランド価値を落としてしまう。旗艦ブランドの価値を毀損してしまうマーケティング戦略は、通常ではありえない。

 もちろん、物価など経済情勢により仕方なく値上げしなければならないこともあるだろう。しかし、15年10-12月期GDPがマイナスとなっている状況で値上げに踏み切るとは大胆だ。これでは、リピート客の減少を懸念する必要に迫られるだろう。ブランドイメージという重大な要素を下げることなど、通常ではしてはならない。ホテル事業やショッピングモール事業にも影響が及ぶ可能性が高い。

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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