森友学園への国有地払い下げをめぐり、撤去費用8億円相当とされるごみが、実はなかった問題で、豊中市への情報公開により、背任罪を決定づける国が作成していた新資料が見つかった。森友問題の根本的解決に向けて、その資料の意味を考えたい。
森友問題、加計問題と、安倍首相の縁故主義に端を発する不祥事が次々と暴露されつつある。6月11日付毎日新聞は、大阪地方検察庁は森友学園の籠池泰典元理事長を逮捕・送検する方針だと1面トップで報道した。しかし、森友問題の核心点である、ごみがないにもかかわらず、その撤去費用として8億円減額し、9億円相当の国有地を1億円で払い下げた官僚たちの、背任行為や事実を覆い隠すための公文書廃棄の罪はどうなったのか。
もともと森友問題が今年2月以降大きな話題となったのは、国会で民進党の福島伸亭議員の質問に対し、安倍首相が「自分や妻が関与していれば、議員をやめる」と過剰反応したからである。安倍首相が自分の発言に責任を取らなければ、国の基本が揺らぐ。安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長となり、当初は肩入れしていた籠池氏が、気が付くと自分ひとりが悪者にされていたため、参議院議員の森友調査団の前で、安倍首相と昭恵氏の関与を示す100万円の寄付を明らかにし、その後、首相の一声で籠池氏の証人喚問が行われた。
今回の検察による籠池氏逮捕は、安倍首相に逆らうものは逮捕され、賛同してポチのように付き従うものは逮捕を免れるという点で、実にわかりやすい構図である。しかし、日本は3権分立の議院内閣制で、首相は行政のトップでしかない。議会が多数与党でルールを外して運営され、司法まで首相の意向で左右されることになれば、独裁国家になってしまう。
すでに3月22日、大阪地検には、近畿財務局他の官僚たちを氏名不詳で訴える刑事告発状が出され、受理されている。一方、東京地検特捜部にも5月22日に刑事告発状が出されている。東京地検への刑事告発状(註1:告発状)では、大阪での刑事告発ではまだわかっていなかった、土地深部には8億円のごみがなかったことを示す書証(甲1~甲25号証)が付けられている。市民団体や国会議員が調査収集した資料や国会での質疑の議事録などの公文書が、約10cmもの厚さになる分量が提出されている。国中を揺るがせる森友問題に本来なら検察が汗をかいて調査しなければならないものを、市民団体が調査資料をそろえて出したのである。