ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 鉄道模型、なぜブーム?
NEW

鉄道模型ビジネス、なぜ秘かにブーム?飲食店、貸しレール…趣向凝るサービス続々

文=A4studio
【この記事のキーワード】, ,
鉄道模型ビジネス、なぜ秘かにブーム?飲食店、貸しレール…趣向凝るサービス続々の画像1「バー銀座パノラマ HP」より

 今や鉄道の楽しみ方も多様化し、「撮り鉄」や「乗り鉄」「音鉄」など鉄道オタクだけでもさまざまなジャンルがあることはご存じの通り。そして実物の電車を楽しむ人も多くいる中で、いまだに根強い人気を誇っているのが「鉄道模型」である。ミニチュアの線路を走らせたり、一から車両をつくったりなど、こだわればキリがない。

 そんな中、ここ数年で鉄道模型にプラスアルファの要素を取り入れたお店が多数登場し、初心者も手軽に触れ合う機会が増えたこともあり、再び熱気を帯びつつあるという。

 昨年12月20日には、千葉県の「イオンモール幕張新都心」に「スチームロコモティブ」という鉄道カフェの新店がオープンしたばかり。ジオラマを走る鉄道模型を見ながら食事することができ、席によってジオラマの景色が大きく変わるのも魅力だという。このようにファミリー層向けの複合商業施設にも鉄道をコンセプトにした店舗が名を連ねていることに、本格的ブーム再来の兆しが見て取れる。

趣向凝らす飲食店が人気に

 東京・秋葉原に店舗を構えるのが「鉄道居酒屋LittleTGV」。店内をNゲージが走っているだけでなく、女性店員が駅員・乗務員風のオリジナルコスチュームで接客してくれるという萌え要素も取り入れた居酒屋だ。要するに「鉄道+萌え+飲食」の複合を売りにしているのである。

 「当初は鉄道好きの男性が客層の大半になると踏んでおりましたが、最近は女性や家族連れが増えてきており、鉄道模型という趣味の広がりを感じますね。ちなみに当店ではチャージの代わりに『乗車料』という名目でおひとり様当たり500円いただいておりますが、その500円分の切符を発行し、乗務員役の店員が入鋏する(ハサミを入れる)というサービスをさせていただいております。中高年の方々には懐かしんでいただけて好評ですね」(同店店長)

 そんなこだわりもあり、オープンした2008年から着実に売り上げを伸ばしているという。

 また、ムーディーなバーカウンターに鉄道模型が走るのは、東京・銀座にある「バー銀座パノラマ」。ボトルキープのようなシステムで鉄道模型キープができ、自身で持ち込んだ車両を走らせることもできるという。ほかにも、昨年8月から新規導入されたコントローラー付きのレールではお客が運転することもでき、「鉄道カクテル」というオリジナルカクテルを振る舞ってくれることでも話題だ。

 東京以外では、愛知県にあるカフェ「鉄道屋」も圧巻で、店内を走るNゲージは全7路線、レールの全長はなんと300m。製作に3年を要した大作だという。このように、東京だけでなく全国各地に鉄道ファン垂涎のお店が続々と誕生しているのである。

ジオラマのレンタルサービスも人気

 もちろん、鉄道以外のプラスアルファの要素がない店舗も盛り上がりを見せている。店内にジオラマをつくり、1時間いくらというレンタルレイアウトのサービスを展開している鉄道模型販売店が全国各地で増えているのも近年の特徴だ。

 昨年7月、東京都墨田区にオープンした「レイルガーデン」もそのひとつ。

 「5m×2.5m、6路線の貸しレールがございまして、1路線につき平日で1時間350円からのレンタル料金をいただいております。もちろんお客様の車両を持ち込んでいただいても結構ですし、『N700系』やJR『E259 NEX』といった車両模型も1時間500円で貸し出しております。手ぶらで来ても楽しめると、お客様から喜んでいただいていますね」(同店店長)

 お店の中央にジオラマが設置されており、そのすぐ脇には大きな窓。これによりジオラマの風景に自然光が当たり、鉄道のある実際の街並みのように、時間帯によって違う情景が演出されているのだ。

 「お客様からのご要望があれば店内の電気を落とし、LEDでNゲージをライトアップして夜景を再現することもできます」(同)

 こうしたサービスが生粋の鉄道好きにウケて、学生から定年退職した年配まで幅広い年齢層のお客が訪れるそうで、オープンからこの半年間、一度も月間売り上げが下がることなく右肩上がりに推移しているほど盛況ぶりだという。

 鉄道模型というと、自宅にレールを敷いてジオラマをつくるほどこだわりだしてまうと、出費がかさむのはもちろん、自宅のスペースを占有してしまうというのがデメリットとして挙げられていた。だが昨今はジオラマを眺めながら食事ができるお店や、貸しレール・貸し車両サービスのあるお店も増えてきており、手軽に鉄道という趣味を楽しめる裾野が広がってきていると言えるだろう。

 この鉄道模型ブーム再燃は、今回取り上げた各店のようにもともと鉄道に並々ならぬ情熱を持っていたオーナーや店長が、良い意味で趣味の延長線上のような雰囲気のお店をつくったことに端を発しているといえよう。ビジネス度外視でつくり込んだジオラマなどを目的に、コアな鉄道ファンが足繁く通うようになり、そこから世間的な注目も集まってライトファンも巻き込んでいくという好循環を生み出しているのが要因と推察できる。

 また、女性の鉄道ファン「鉄子」の登場や、子供の影響で電車好きになった「ママ鉄」の増加で女性にもファン層が広がったことにより、それまで良くも悪くも男の趣味だった鉄道というジャンルが、ファミリー層で楽しめるメジャーな娯楽として認知され始めているのではないだろうか。
(文=昌谷大介/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

鉄道模型ビジネス、なぜ秘かにブーム?飲食店、貸しレール…趣向凝るサービス続々のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!