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ゴルフ場最大手アコーディア、なぜ7割を売却?業界2位のTOBめぐる死闘を制した奇策

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ゴルフ場最大手アコーディア、なぜ7割を売却?業界2位のTOBめぐる死闘を制した奇策の画像1「Thinkstock」より
 1970~80年代にかけてM&A(合併・買収)が激化した米国では、敵対的買収に対するさまざまな防衛策が考案された。その1つがスコーチド・アース(焦土作戦)。敵対的買収が発生した際に、優良資産や収益性の高い事業を売却し、企業価値を失わせる手法だ。ゴルフ場保有・運営における国内1位のアコーディア・ゴルフは究極の焦土作戦に打って出た。

 アコーディアは8月上旬をめどに、同社が保有する133コースのゴルフ場のうち90コースを、2月に設立した特別目的会社(SPC)へ売却する。同時に、売却したゴルフ場の運営を同SPCから受託する。売却で得た資金は自社株のTOB(株式公開買い付け)や有利子負債の削減などに充てる。

 ゴルフ場の売却総額は1117億円以上を見込んでいる。売却後、同SPCはゴルフ場の持ち分をシンガポールで組成する上場ファンド「ビジネス・トラスト」(BT)に譲渡。BTはシンガポール証券取引所に上場し、BT株式の25%をアコーディアが保有、残りの75%は一般投資家が売買できるようにする。

 さらにアコーディアは大和証券グループの大和PIパートナーズから、やはり8月上旬をめどに新株予約権付社債で200億円を調達。新株予約権を普通株に転換した場合、大和PIはアコーディア株式の16.75%を保有することになる。

●ゴルフ場売却で、売り上げ規模は半減

 ゴルフ場の売却と大和PIから調達する計1300億円以上の資金を使い、アコーディアはBTに出資するほか、900億円前後に上る銀行からの借入金の一部を返済する。

 加えて、自社株式のTOBも行う。買い付け価格は1株当たり1400円で取得額は450億円以上に上り、同社の発行済み株式の30.5%という大規模なものになる。アコーディア株式の25%を保有する投資会社レノからは、TOBに応じる内諾を得ているという。

 今回の事業再編の狙いをアコーディアの鎌田隆介社長は「株主価値の最大化」と説明する。現在はゴルフ場を保有した上で運営しているが、それでは資産が肥大化して効率的な運営はできないため、ゴルフ場という不動産を切り離し、ゴルフ場の運営に特化するというものだ。

 アコーディアの2014年3月期の売上高は前期比3.6%増の942億円、営業利益は同12.8%増の150億円の見込み。これまで全額計上していたゴルフ場運営収入は売却したSPCに帰属し、アコーディアには同SPCからの運営委託費(ゴルフ場運営収入の一部)が入るのみとなる。15年3月期の売上高は497億円と14年同期の推定に比べ47%減り、営業利益は同56%減の66億円まで減ると会社側ではみている。今後、年商500億円規模の会社になるわけだ。ゴルフ場保有・運営会社の1位の座から滑り落ちることになる。

 今後の焦点は、6月下旬の株主総会となる。これら一連の施策について、レノグループ以外の株主の賛同を得ることができるかどうかにかかっている。ちなみにレノは、M&AコンサルティングやMACアセットマネジメントなどで構成される通称・村上ファンドグループの幹部だった三浦恵美氏らが率いる投資会社だ。

 奇策ともいえる、ゴルフ場を切り離す本当の狙いはなんなのか。喉に刺さった骨である「旧村上ファンド」に退場してもらい、大和証券グループが筆頭株主に取って代わることを意図しているだけではない。最大の狙いは、アコーディア買収に意欲を燃やしているゴルフ場2位のPGMホールディングスに、買収をあきらめさせることにある。

BusinessJournal編集部

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