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リニア、語られない重大な懸念と、前代未聞の難工事 車内気圧変動とヘリウムショック

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 軌道上に設置した無数の超伝導磁石を冷却し続けるのにヘリウムが欠かせないリニアにとっては、ヘリウムの需給逼迫は文字通りの死活問題であり、枯渇は悪夢以外の何ものでもない。リニアに5兆5000億円の巨費を投じるJR東海にとっても、深刻な経営課題として急浮上している。

JR東海、リップサービスの真相


 そうした状況の中で昨年4月、安倍晋三首相がオバマ米大統領との首脳会談でリニアの技術を米国に無償提供すると突然表明し、関係者を驚かせた。安倍首相とJR東海の実力者・葛西敬之名誉会長は親しい仲にあり、同社の了承の下のリップサービスであったことはいうまでもない。

 その葛西氏はかつて、新幹線の技術を中国にタダ同然で渡した東日本旅客鉄道(JR東日本)と川崎重工業を「国益を損なう行為」と激しく批判したことがあったが、180度異なる葛西氏の今回の対応も、ヘリウム不足を補助線として考えるとわかりやすい。主要メディアは米国へのリニア新幹線の売り込みが目当てなどと報じたが、真相は「虎の子のリニア技術をタダで渡す代わりに、同社にはヘリウムを安定的によこすように」という政治的な取引なのである。

 JR東海や国交省は、ヘリウムに代わる超伝導磁石の冷却技術の開発を急いでいる。しかし、ヘリウムフリーの高温超伝磁石の実用化には、まだ至っていないようである。同社の焦りは募るばかりだ。

 今から半世紀以上も前、東海道新幹線の開発を指揮した国鉄技師長の島秀雄氏は、鉄道の良い意味での「枯れた技術」を集大成して時速200kmの高速鉄道をまとめ上げた。それが今も続く列車乗車中の乗客の死亡事故ゼロという安全性の土台となった。翻ってリニア中央新幹線のプロジェクトとそれを司るJR東海の姿勢を眺める場合、ある種の自己過信と冒険、綱渡りの姿勢とが、所々に見られると思うのは筆者だけだろうか。
(文=編集部)

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