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JMR生活総合研究所「消費と会社の戦略を読む」

マック、単独での生き残り厳しく…異業種&海外勢の参入続出、ボーダレスな客争奪戦突入

文=川口健一/JMR生活総合研究所プロジェクト・マネジャー
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世代交代がもたらすハンバーガー市場の転換

 
 米国進出組が「好立地・高価格」展開する背景のひとつには、「市場の大人化」がある。マクドナルドが日本に進出したのは1971年で、初期需要層は「団塊世代」であった。この第1世代からスタートし、全国に店舗網を構築しながら、次々に入れ替わる若者層やファミリーをコアターゲットとして取り込むことで、マクドナルドは成長を果たしてきた。

 しかし、団塊世代はすでに65歳以上のシニアステージにシフトしている。また、ターゲットとなる若年層も少子化の影響により、規模は年々減少している。こうした世代交代を受けて、各チェーンが新たな顧客の取り込みを試行している。

 そのひとつが大人市場で浸透が高まる「ちょい呑み」への対応である。フレッシュネスバーガーは以前からビールを販売していたが、ちょい呑み市場の拡大を受けて14年夏から「世界の瓶ビール」の提供店舗を拡大している。モスバーガーはアルコールメニューを提供する「モスカフェ」を現在8店舗展開している。また、15年11月には、通常店舗では販売していないグルメバーガーとお酒を楽しめるフルサービス新業態「MOS CLASSIC」を渋谷区千駄ヶ谷にオープンさせるなど、海外進出組への対抗策を打ち出している。

ハンバーガー戦争の行方

 ハンバーガーの市場を取り巻く環境が激変するなかで、「コアターゲット(若年層・ファミリー)」と「コアバリュー」を失ったマクドナルドの復活は厳しい。3月29日に開催された株主総会において16年の戦略が示されたが、「500~600店舗の大量改装」「地域特産品を使ったメニュー開発」など大半は2015年の延長線となっている。

 同社の新商品「北のいいとこ牛(ぎゅ)っとバーガー」や「グランド ビッグマック」、さらには「使用期限切れ鶏肉問題」からの信頼回復を目指す「ヘルシーなチキンメニュー」の展開も、現状では既存顧客の復活や新規顧客の獲得にはつながっていない。

 また、海外の高級バーガーチェーンは今後、多店舗化が課題となる。「好立地・高価格戦略」による拡大のためには、ある程度の市場規模があり、高付加価値商品を受容する顧客層が集まるエリアへの出店が条件となる。大都市圏を中心に出店余地はそれほど大きくないなかで、ほかの外食業態との顧客獲得競争に晒されることになる。

 4月には居酒屋「土間土間」が高級ハンバーガー市場に参入した。居酒屋店舗で期間と数量を限定(4月~6月で1日10食)しての提供だが、異業態からの参入も含んだボーダレス競争が激化することが予想される。 
(文=川口健一/JMR生活総合研究所プロジェクト・マネジャー

JMR生活総合研究所
 生活者の総合研究に基づいて、新しい事実を発見し、その事実から戦略を組み立て、経験を生かしたコンサルティングを通じて、クライアントの問題解決を行う。1991年に設立してから今日までの約25年の間に、年間平均250、延べ5000のテーマに取り組んできた実績を持つ。主たる領域は、食品、飲料・酒、化粧品・日用雑貨、輸送機器、家電・情報通信、流通など生活者と接点を持つ業界。日本を代表する企業のマーケティング課題のソリューション(解決)に取り組んでいる。

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