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「あなたの人生を変える」サービス、絶賛と感動で密かなブームに

構成=編集部
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震災被災者が元気を取り戻すきっかけになった

「あなたの人生を変える」サービス、絶賛と感動で密かなブームにの画像2「聴き書きブックス」代表兼聴き手 後藤岳氏
–なぜ聴き書きのサービスを始めたのでしょうか。

後藤 2011年の東日本大震災が起きた際、ボランティアで東北地方に行きました。その際、現地で被災者の方々の話に耳を傾け、半生などを聴き取る活動されているグループがあることを知りました。そこで、被災者の方々が自分のことを話しているうちに元気を取り戻していく姿を見たのです。頭の中が震災や津波のことで埋め尽くされていた人たちが、「自分の人生は楽しいことや良いこともたくさんあった。これからも良いことはある」と、前向きな気持ちになっていきました。

 さらに、それを文章にして著すことで、それを読んだ家族の方々が「自分の父親はこのような人生を歩んできたのか」「自分のクセが母親譲りだった」「いつも母親が口酸っぱく言っていた背景には、こんなことがあったのか」などと気づき、家族の関係が深まったという効果が表れ始めたのです。

 そこで、これは被災された方々だけではなく、東京をはじめ全国で必要とされるものではないかと感じたのです。家族がバラバラになり、個人で生きている方が増えている時代にこそ必要なサービスであると考えたのがきっかけです。

 私自身は人と接することが好きで、かつてホテルのコンシェルジュをしており、人の願いやリクエストに耳を傾けるということを続けてきました。そのような経験を生かせる仕事を探していたので、これは私にぴったりだと感じました。

–人の話を聴くのが好きで、また話を引き出すのも得意だったということですね。

後藤 人の話を聴くことは、とても面白く興味深いと思っています。「この人は、こんな経験をしてきたのか」「この出来事をこのようにとらえていたのか」といった感じに、その人だけの経験、物事のとらえ方や感じ方を聴いていると引き込まれ、一人ひとりの人生はそれぞれに面白さがあると心から思えるので、私にとって天職です。

–今までに聴き書きを利用された方々の反応はいかがでしたか。

後藤 最初の方は84歳のご婦人で、当初は「私の人生は大したことないから、話すことなんかないわ」とおっしゃっていたのですが、一度話し始めたら止まらなくなりました。その年代の方ですから戦争を体験されていて、その体験・記憶・知識というものを伝えて残さなければいけないという気持ちになったようです。そして、サービスをご利用いただいた後には、20~80代まで30人ほど集めて戦争体験を語る会を開催するなど、元気に活躍されるようになりました。

 また、両親の金婚式に聴き書きのサービスをプレゼントされた方がいるのですが、親から子へ愛情が語られ、子からは親への感謝が語られ、それぞれが涙を流して感動する時となりました。

 反応は毎回それぞれに違いますが、すべての方に共通するのは、聴き書きを体験された後にとてもすっきりした顔になります。皆さん、自分の人生の中で抱えてきたものがあり、それを言葉に表すことで浄化されるというか、自分の人生を受け入れて未来を明るく見据えるようになっている気がします。その結果、「今」が楽しくなり、生き生きし始めます。

 ある30代の女性が、「今の彼と結婚したいけれど、踏みきれない」と悩んでいたのですが、聴き書きの後に吹っ切れて急に結婚したという例がありました。このように、体験された方々の人生において、物事が動き始めるきっかけになっています。

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