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空前のアベノミクス好景気、戦後3番目の長さへ…「終了」の兆候、日銀の金融緩和限界

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 こうしてアベノミクスが重視してきた金融政策が行き詰まるなか、首相官邸が重視してきた賃上げにも変化が現れた。14年、15年の春闘では、政府が直接、各企業に賃上げを要請したことが功を奏した。これが、“官製春闘”だ。

 しかし、16年以降は賃上げが実現してはいるものの、その伸び率は鈍化している。円高、欧米の政治不透明感の上昇、国内での人手不足の深刻化などを理由に、先行きに慎重な企業は多い。需要低迷により国内での投資機会が見当たらないため、国内重視の経営戦略を進めることも難しい。

 その結果、事業拡大の選択肢を突き詰めると、海外での合併・買収(M&A)にいきつくことが増えているようだ。同時に、海外でのビジネスリスクを十分に理解できていなかった結果、東芝のように巨額損失に直面する企業も増えている。こうした状況を総合的に考えると、アベノミクスは限界に直面しているといえるだろう。

今後の展開予想 構造改革の内容が問われる


 今、世界の経済全体を見渡すと、中長期的な成長の見通しは不透明と考えられる。足許、世界経済は米国の緩やかな景気回復と中国の財政出動に支えられている。ただ、この動きがいつまで続くかを考えると、楽観はできない。

 米国では、新車販売台数の減少など今後の景気動向に関するリスクが高まっている。今すぐではないにせよ、徐々に米国経済が回復のピークを迎える懸念はある。中国の習近平国家主席は、秋の党大会に向けて支配基盤の強化を重視するだろう。特に、財政出動を通した不動産バブルのソフトランディングは、最優先の事項のひとつと考えられる。

 こう考えると、「年内の景気はなんとかなるが、来年以降の世界経済はわからない」との見方は増えやすいだろう。そんななか、日銀は依然として国債買い入れを通した物価目標の達成を目指している。しかし、どこかで国債買い入れが限界に直面することは避けられない。アベノミクスは金融政策に代わる取り組みを提示できていない。

 政府はこれまで以上に構造改革を進める必要がある。それが、当初のアベノミクスが掲げた成長戦略の本義だったはずだ。まず、人手不足解消のためには、機械化などを大胆に進め、限りある労働力を有効に活用する取り組み(省人化)が必要だ。それが進まないと、本当の意味での働き方改革も覚束ない。ドローン、自動運転技術に見合ったように、都市空間の設計を見直すことも必要だろう。

 加えて、米国が自由貿易体制から保護主義政策に舵を切りつつあることを受けて、東アジア新興国を中心に日本のリーダーシップを期待する声も高まっている。日本が国際社会での発言力を獲得するためにも経済外交を進め、親日国の数を増やすべきだ。

 アジアの新興国は世界経済のダイナミズムの源泉であり、主要先進国がその需要を取り込もうとしている。日本がアジア経済との関係を強化することで自国の経済基盤を強化し、世界経済における発言力を高める意義は大きい。そうした取り組みこそが、中長期的な日本経済の安定、デフレ脱却には不可欠だろう。
(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)

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