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アベノミクス、未曽有の異常な「停滞状況」突入…一斉に投資意欲喪失

文=島野清志/評論家
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 これに対して、アベノミクス第二波といえる今回の動きは、いささか異質だ。1万8000~9000円台に留まっている期間は5月17日時点で119日にもなり、すでに過去3回を大きく上回っている。特に大台替わり直前の1万9000円台の滞留日数は突出している。

 上昇相場と呼ぶよりも、爪先上がりの、さらに言えば退屈な往来相場が延々と続いているわけで、先に紹介した練達の市場参加者の困惑や、投資意欲の喪失もうなずけるところだ。

 本来振幅の大きさが持ち味である株式市場の不自然な状況を助長している要因としては、日本銀行による株式の大量購入が挙げられるだろう。昨年7月末に日銀が決定した、ETF(株価指数連動型上場投資信託)の3兆円から6兆円への購入増額は、市場に備わっている価格調整機能に枷をかけていることは間違いあるまい。すべてを日銀の操縦とするのは無理があるにしても、昨今まま見られる、懸念材料が出て朝安で始まった相場が深押しすることなく、引けてみれば大過なし、というパターンは、国内最強の買い本尊が控えている影響が大きいはずだ。

 大台に乗せた後も、懸念すべき事柄は多い。2万円を目前にした、かつてない長い足踏みは、大台越えによる心理的な達成感から利益確定の大量の売り物を生み出しやすく、執拗に相場の頭を押さえつける公算はある。

 そして過去二十余年、東京市場にとって平均株価の大台替わりが大きな壁になっている点も気になるところだ。バブルの残り香が漂っていた1996年でさえ2万2000円台、その後の2回は次の台替わりを果たすことなく、天井を打っている。
(文=島野清志/評論家)

【平均株価2万円回復までの台替わり日数】
・バブル後の戻り高値(平均株価最高値2万2666円・1996年6月)1万8000円台41日、1万9000円台15日
・ITバブル(同2万833円・2000年4月)1万8000円台64日、1万9000円台14日
・アベノミクス第1波(同2万868円・2015年6月)1万8000円台18日、1万9000円台28日
・アベノミクス第2波(同)1万8000円台41日、1万9000円台78日(ただし2017年5月17日時点)
※各数値は終値ベース。

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