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東芝、なくなる可能性…ガバナンス先進企業・東芝、まったくガバナンス効かず

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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企業に求められるゴーイング・コンサーンの意識

 
 東芝は、上場廃止を回避するために自己資本を増強しなければならない。そのためには、事業売却、人員削減などは不可避だ。リストラによって一時的に資金は確保できるだろう。問題は、事業の切り売りが続くと、東芝の競争力そのものが失われることだ。それは、東芝という企業がなくなってしまうことと言い換えられる。

 企業は永続的な事業体=ゴーイング・コンサーンだ。途切れることなく、事業を運営して付加価値を創造することが求められている。一方、東芝の経営陣は収益を過度に追い求めすぎたあまり、海外買収で想定以上のリスクを負担するなど、近視眼的に行動してしまった。

 経営者として、成長を追い求めることは正しい。問題は、適切な時間軸とリスク感覚の下で成長戦略を議論できているか否かだ。特に、海外でのビジネスには日本の“常識”が通用しないことも多い。企業経営者は、成長戦略に対する耳の痛い諫言、指摘を虚心坦懐に受け入れ、経営基盤の増強に向けた議論を進めることができているか、一度、そのスタンスを確認すべきかもしれない。

 今年度内に半導体事業の売却交渉がまとまるかは定かではなく、東芝の上場廃止が回避できるかは不透明だ。原子力発電事業からの追加的な損失発生のリスクも排除し切れず、会計監査人との意見対立が続く恐れもある。

 東芝の経営再建が困難との見方が広がれば、日本の株式市場にはそれなりのショックが広がるだろう。その結果、株式市場の混乱が家計や企業の心理を圧迫する展開も想定される。加えて、米国の政治動向や北朝鮮問題など、世界経済の先行きに関する不透明感も徐々に増している。少子高齢化によって国内市場の先細りが見込まれるなか、いかにして経営の持続性を高めるか、多くの企業は今後の経営戦略を見直すべき時を迎えている。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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