もはや世界遺産?名古屋喫茶店文化の正体…朝から晩までボリューミーなモーニング付き
鉄板小倉トースト、焼きそば定食…
お次のお店は、名古屋なのに「喫茶 神戸館」という、ガラス張りの外観が特徴の有名店。5階建ての1階が喫茶店で、5階の宴会場は結婚式の二次会でよく使われ、名古屋の人には馴染みのお店らしい。
そんな神戸館のイチオシが、「鉄板小倉トーストwithとろけるきなこ」である。これも名古屋の喫茶店の特徴なのか。鉄板好きである。こだわりのコーヒーシロップをかけると、期待通り「ジュワー」と音がする。さらに、同じく名古屋で生まれた「とろけるきなこ」がかけ放題だ。
そして、神戸館のランチメニューでカレーやパスタに並び存在感を放つのが「焼きそば定食」である。これまた鉄板に、ライスに合う濃い目のソース味の焼きそばが盛られ、目玉焼きがのっている。これに赤だしの味噌汁がついてくる。
喫茶店に「焼きそば定食」は名古屋では当たり前だそう。
東京でも名古屋の喫茶店文化を味わいたいというニーズに応えてくれるのが、「コメダ珈琲店」だ。名物は「シロノワール」。熱いデニッシュパンの上にたっぷりソフトクリームがのっており、熱々冷々を楽しめるところが、いかにも名古屋メシらしい。いまや、全国で店舗数は700店を超えている。名古屋の喫茶店に共通する前述の「モーニング」。先ほどのように、飲み物にトーストやサラダ、卵料理がついてくる。
コメダ珈琲店では、トースト+A「定番ゆで玉子」、B「手作りたまごペースト」、C「名古屋名物おぐらあん」の3種類から選べる。提供時間は開店から朝11時まで。さすがに全国チェーンだけあって、かなり洗練された感じである。ホワイトベアのようにお寿司やおにぎりはついてこない。
メニューだけではない。店内にはスポーツ新聞や雑誌が豊富に揃えられ、席はソファでゆったりくつろぎ系。ビジネス書や絵本などが充実している店もある。長居を前提にしていることも、名古屋の喫茶店のサービスの特徴だ。それと、コーヒーチケットと呼ばれる9枚綴りの回数券を使う常連さんも多い。
“軽食堂”
名古屋スタイルの喫茶店文化を語る際に、もうひとつ欠かせないことがある。それは店と顧客との関係だ。名古屋の喫茶店は、朝、昼、午後、夕方、夜と、いつ訪れてもさまざまな客層で店が賑わっている。ビジネス層だけでなく、近所のおじさんやおばさんの友人グループ、老夫婦、小さな子供のいる家族連れなど、とにかく客層が広いので、時間帯に偏りがなく集客ができている。