“アベグジット”で株安が加速?

 こうしたもろもろの環境の悪化に伴い、海外投資家の日本株売りが続いている。海外勢は今年に入り、現物株と先物合わせて7.9兆円を売り越した。中国が人民元を切り下げた直後の売越額6.9兆円を大きく上回る。海外投資家の姿勢は180度変わった。ただ、外国人には森友問題は理解不能で、彼らが今一番気にしているのは内閣支持率だ。内閣の支持率を不支持率が上回れば彼らは「森友は大変だ」と気が付くといわれてきたが、支持と不支持が現実に逆転した。1ドル=103円を突破し、さらに円高が進んだ時点で再び株価は大きく崩れる可能性が高い。

 トランプ大統領の経済政策を野球に例えると、大規模減税法・税制改革は三球三振。鉄鋼・アルミの輸入制限は暴投。中国に拳を振り上げ、「通商301条」を発動し中国製品6兆円強の制裁を決めたが、これは大暴投だ。

 2月中旬、ブルームバーグが「世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターが1月から日本株のショート(空売り)ポジションを構築した」と報じた。

 輸出企業の業績の下方修正が続出しそうだ。18年3月期決算の第4四半期(18年1~3月期)の為替レートは、企業側の想定に比べて大幅に円高となった。当然、主要企業の多くで19年3月期決算は業績の下方修正となり、海外勢は「フォード・ゼネラルモーターズ(GM)買い、トヨタ・ホンダ売り」となる。

 3月は混乱を避けるために日本銀行が必死になって株価の下支えをしてきた。日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れが膨らんでいる。3月28日時点で、月間購入額は8309億円に達し、月間ベースで過去最大になった。同日には一時、540円安の2万776円まで下げたが、日銀がETFを747億円買い入れたこともあって大引けでは286円安の2万1031円まで戻した。だが、4月以降も株価を無理やり支えることができるのかは不透明だ。本格的な下落の局面が来るのは意外と早いかもしれない。いよいよ株価2万円割れを覚悟しなければならないだろう。

 外交もまったく展望できない。3月21日の日ロ外相会談。読売だけが前向きな報道を続けているが、領土問題は完全に棚上げ。ウラジーミル・プーチン露大統領は再選されたが、領土問題で日本に譲歩するつもりはさらさらないようだ。「安保」を持ち出し、日本側の領土交渉をはねつけている。安倍首相は5月にロシアに行くが、“お土産”は何もない。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が3月25日から28日まで中国・北京を電撃訪問した。朝鮮中央通信によると、習近平国家主席が金氏の訪朝の招請を快諾したという。つまり、習氏が訪朝する。

 韓国と北朝鮮の南北首脳会談、金委員長の訪中、米朝首脳会談と目まぐるしい動きとなっているが、どの局面でも「日本」の2文字は出てこない。安倍首相が提唱する「北を圧力で封じ込める」路線は色褪せてきた。外交面でも手詰まりの様相が濃くなっている。

アベグジット(アベノミクスと出口=イグジットを掛けた造語)」の方向性がはっきりすれば、株安は加速する。アベグジットは「安倍首相の退陣」と掛け言葉になっている。

 最後に、19年3月期の減益シナリオにもう少し踏み込んでみたい。1ドル=100円を決算の前提とすると、「5~10%の減益になる」(外資系証券会社のアナリスト)との見立てがある。
(文=編集部)

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