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『義母と娘のブルース』今期連ドラ視聴率トップ独走…良一の死を淡々と描く脚本に号泣

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 綾瀬はるか主演の連続テレビドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の第6話が14日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイント増の13.9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。2週連続で自己最高を更新しており、7~9月期の連続ドラマでは視聴率トップを走っている。

 このドラマは、バリバリのキャリアウーマンだった岩木亜希子(綾瀬)が子持ちのサラリーマン・宮本良一(竹野内豊)と結婚し、良一の娘・みゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)の母として奮闘する物語。

 公式サイトでの予告から、良一の出番は第5話で終わり、今週の第6話からは良一が病死して約10年後の物語が展開するとばかり思っていたが、予想に反して第5話の前半は良一の葬儀の様子に時間が割かれた。闘病生活を長々と描いて安易なお涙頂戴に走らず、残された亜希子とみゆきの2人にクローズアップすることで物語を展開させていく手法は良い。

 当初、亜希子もみゆきも妙にさっぱりとした感じで良一の死を受け入れており、涙を流すわけでも取り乱すわけでもなく、淡々と葬儀の段取りを進めていた。あれほど良一の体調を心配していたみゆきがまったく悲しまないのは妙だと思ったが、「大丈夫、慣れてるから」の台詞で合点がいった。みゆきは以前にも母の葬儀を経験しており、「親の死」という本来なら身をちぎられるような悲しい出来事に慣れてしまっているのだ。これは見ているこちらがつらい。心が壊れないように無意識のうちに防御反応を働かせ、感情にふたをしていることがわかる。

 亜希子は亜希子で、まるで葬儀業者の社員かのように事務的にテキパキと葬儀の準備を進めていく。その様子を見た元部下が「本当は愛していなかったのでは」と、良一と亜希子の仲を疑ったほどだ。

 ここで、世話焼きのおばちゃん的なポジションだった下山和子(麻生祐未)にいきなり見せ場がやってくる。「バカなのかい、キャリアウーマンってのは」と亜希子を一喝。つかつかと近寄って亜希子の両腕をがしっとつかみ、「(あんたの役目は)悲しむことだよ。みゆきちゃんと一緒に」と諭す。それでも「葬儀を滞りなく進めなければ」と言い張る亜希子を、和子は必死に説得する。

 視聴者が亜希子とみゆきに対して抱いていた違和感をズドンと突き、「愛する者の死を悲しむ」という、あるべき姿に戻そうとするこの場面には目頭が熱くなった。下山のおばちゃん、ナイス。連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)では、“野鳥マニア”というキャラ付けをされたのに、まったくその設定が生かされることもなく、いてもいなくてもいいような役回りで出演している麻生だが、こちらでは本人のキャラを生かしたいい役柄が当たってよかったと思う。

 和子に諭された亜希子がみゆきを抱きしめ、目を真っ赤にしたみゆきが初めて「お母さん」と亜希子に呼びかけるシーンも、超ベタではあるがみゆき役の横溝菜帆の演技力に驚かされるととともに、じわっと感動がこみ上げる良い場面だった。

 第6話の後半は「第2章」と称した9年後の物語となり、みゆき役も上白石萌歌に交代となった。見た目や演技には特に文句はないが、子ども時代はしっかり者だったはずのみゆきが、頭の悪いうっかり者に育っていたことにはかなりの違和感を覚えた。何ごとにも厳しいはずの亜希子が育てたはずなのに、何があったのだろうか。みゆきが賢いままだと話が展開していかないという事情なのだろうが、そこだけは残念だった。

 さて、亜希子はみゆきとなるべく長い時間過ごすため、良一の死後は働きに出ず、貯蓄をベースに不足分をデイトレードで稼いでいた。だが、それがみゆきに「楽して稼げる方法がある」と勘違いさせる原因になっていたことを知り、やる気のないパン屋「ベーカリー麦田」で働くことを決める。キャリアウーマンとしての経験を生かして経営を立て直し、あわよくば人気店に押し上げ、業績回復の立役者として自身が脚光を浴びようとの野望も抱いていたのだ。

 亜希子がパン屋を立て直す話は次週から描かれるようだ。かなり面白そうではあるが、そこに尺が割かれると、このドラマのテーマから外れていってしまう気がする。あくまでも亜希子とみゆきの関係性を軸にしつつ、亜希子のお仕事ストーリーをどのように描くのか、森下佳子氏の脚本に期待したい。

 第6話の後半ではこのほか、子ども時代のみゆきをいつも支えてくれたガキ大将的な存在の黒田大樹(井之脇海)とみゆきとの再会が描かれた。第2章の導入だったため、登場人物と設定の紹介だけで終わってしまった観はあるが、その分、第7話からは存分に笑って泣けるストーリーが展開されることを望む。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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