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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

会社指定のカウンセラー、社員の相談内容を人事部に提供→査定に利用も

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー

「メンタルに問題のある社員に、会社指定のカウンセラーに相談するよう推薦していますが、秘密厳守といいながら、実は裏で会社の人事部に情報が流れるんですよ」

 これは筆者が、ある企業の人事関係者から聞いた言葉だ。社員50名を超える会社には、社員のメンタルヘルスケアが義務づけられている。いわゆる「ストレスチェック制度」だ。しかし実態は、社員のメンタル情報の「管理」になっており、メンタルにかかわる個人情報を人事部が把握し、人事査定に利用されているケースもあるのだ。

 そんな状況を抜本的に変える、日本初のまったく新しいプロジェクトが始動した。東京大学大学院でスタートした「ココロ・ストレッチ」というプロジェクトだ。

 ココロ・ストレッチは、法人向けメンタルケアサービスだ。オンラインで社員が自主的にメンタルケアを行える仕組みで、社員の個人情報は強固なセキュリティで守られ、完全に会社から切り離されている。AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を活用し、自分のメンタルの状況をモニターしながら、オンラインでメンタルケアの方法を学びつつ、「折れない心」(レジリエンス)を養成することができる。さらに、必要に応じて臨床心理士のアドバイスを直接受けることもできる。

 従来のように会社が社員のメンタルを管理するのではなく、社員が自主的に楽しくメンタルを鍛え、折れない心になることを自らコミットメントできる仕組みになっている。

 このプロジェクトを発案し推進しているのは、東京大学大学院教育学研究科・臨床心理学コース下山研究室の下山晴彦教授だ。

会社指定のカウンセラー、社員の相談内容を人事部に提供→査定に利用もの画像1下山晴彦教授

 下山教授は、これまでの日本的なメンタルケアのあり方を変える必要性があると感じてきたという。

「メンタルクリニックに患者さんが来るというスタイルは、いわばメンタルケアの第一世代といえます。しかし、それではクリニックに行ける患者さんしかケアすることができません。クリニックに来られる方は、まだ改善する可能性がありますが、来られない方にこそケアが必要な場合があるのです。鬱病患者は100万人くらいいると想定されていますが、実際はその4倍はいるのではないかともいわれています。多くの方が、クリニックに来ることさえできないのです」(下山教授)

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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