
猛暑が続くなか、東京の官庁街「霞が関」をいっそう熱くした文部科学省をめぐる一連の汚職事件。東京地検特捜部が夏休み返上で捜査し、戸谷一夫事務次官も贈賄業者から接待を受けた疑いで事務次官室の家宅捜索を受けた。
東京地検特捜部は、7月に私立大学支援事業の選定に絡む汚職事件で佐野太同省前科学技術・学術政策局長(59)を受託収賄罪で、8月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)をめぐる汚職事件で川端和明同省前国際統括官(57)を収賄罪で、それぞれ起訴した。
そんななか、「特捜部が動くからには、文科省ルートだけで終わるはずがない」とマスコミの熱気は高まっており、早くも「政界ルート」が取りざたされている。
その政界ルートの窓口として注目されるのが、受託収賄罪ほう助と贈賄罪で起訴された元医療コンサルティング会社役員の谷口浩司被告人(47)だ。大手紙の社会部記者が語る。
「谷口被告人は旧民主党政権の頃から政界に食い込み、閣僚経験のある長老クラスに接待攻勢をかけました。さらに、医療分野に強い東海地方選出の男性議員や、都内の元女性議員(落選中)など中堅や若手に人脈を広げ、最終的には、ある議員の事実上の私設秘書の肩書まで手に入れています」
ある議員とは、羽田孜元首相の長男、雄一郎参院議員(51)だ。谷口被告人は羽田議員の「政策顧問」の肩書を持っており、その名刺を配り回ったという。2人の関係について前出の記者が続ける。
「谷口被告人は逮捕直前、羽田議員に相談を持ちかけていることがわかっています。羽田議員にとって谷口被告人は、飲食代を肩代わりしてくれる“お財布”代わり。見返りに名刺を持ち歩くことを許していたそうです」
羽田氏が所属する国民民主党は2人の関係を重くみて、すでに羽田氏から事情を聴いており、今後、特捜部も聴取に乗り出すことが必至とみられる。果たして、羽田氏と谷口被告人の間に何があったのか――。