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八王子の弁当屋さん店主が風邪の症状で調理→重篤な感染症発病者が大量発生

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「Gettyimages」より

 感染症法に基づいて医師から届け出義務がある感染症のひとつに、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」がある。いわゆる溶連菌感染症である。潜伏期は2~5日であるが、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛(のどの痛み)などが現れ、嘔吐を伴うこともある。のどの痛みに加えて、むくみ、扁桃腺の腫れなどがみられる。また、上あごに赤い小さな斑点や点状出血がみられたり、苺舌(舌に赤いプツプツができる)になったりする。重症化すると猩紅熱になるし、合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症、リウマチ熱を発症することもある。幼児や学童を中心とした疾患であるが、成人にも感染する。筆者も感染したことがあり、高熱と咽頭痛で苦しめられた経験がある。

 これまで、主な感染ルートは、くしゃみや咳などの飛沫感染や、感染者が触れたドアノブなどに触れた手で鼻口などを触って感染する接触感染といわれてきた。

 ところが、驚くべきことに、「食品衛生研究」(8月号vol.68)で、弁当を通じて溶連菌感染症が広がったことが報告されて(『A群溶血性レンサ球菌を原因とする食中毒の発生について』)、飛沫感染、接触感染だけでなく、食中毒形態でも感染が起こることが明らかになった。

 この溶連菌感染による食中毒は、2017年9月に八王子市で発生した。市内の仕出し業者から配送された弁当「ミルフィーユカツ2種盛り御膳」「ミルフィーユカツとメンチカツ御膳」を食べた23人中14人が発熱、咽頭痛を発症した。さらに同じ業者の弁当が原因で、A市病院では33人が食べ18人が発症、B区病院で22人が食べ9人が発症した。

 食中毒としては、広域感染の様相を示していた。これだけ集中的に広域に溶連菌感染症が発生したため、八王子保健所としても重点的に調査に乗り出した。たまたま、食中毒被害者が医療関係者であったため、「菌株」を確保することができ、原因施設を容易に特定できた。

 この仕出し業者は、店長とパートの2名で調理しており、店長は喉の痛みと発熱を発症していたが、調理時には熱が下がったので調理に従事していた。

「当該施設のふき取りおよび参考食品からA群溶連菌が検出され、患者から検出された菌株との菌型別検査で100%の相同性が示された。調理従事者は溶連菌によると思われる症状を呈していたことと、調理場の手洗い設備が使用できない状況であったことから、調理従事者を介し食品が汚染されたことによる食中毒であったと推察された」(報告書より)

 結局、調理従事者が溶連菌に感染した状態で調理に従事し、調理した弁当を通じて感染症が広がるという食中毒が引き起こされたのである。この報告書でも、「本菌による食中毒は、呼吸器症状が主であるため、小規模発生の場合は単なる風邪として見過ごされる可能性がある」としているが、重症化すると大変な感染症であり、外食産業に従事する人は、十分注意してほしいものである。

「胃腸炎や発熱の症状がある場合は、調理行為に従事しないよう事業者に指導しているところであるが、喉の痛み、発熱、頭痛等のいわゆる風邪症状がある場合も、溶連菌による食中毒の発生防止の観点から同様の指導が重要である」(報告書より)

(文=小倉正行/フリーライター)

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