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ドンキ、一激安店から国内小売業4位の座に…伊藤忠やユニーまで“手玉に取る”強かな経営

文=編集部

海外展開を加速させるドンキHD

 では、ドンキHDの真の狙いはどこにあるか。ドンキHDは19年2月1日付で「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に社名を変更する。「ドンキが日本にとどまらず冠たる業態を築き上げる決意の表れ。その場所にあった業態をつくっていく」(大原社長)と、海外展開に強い意欲を示した。シンガポールの「DON DON DONKI」出店の陣頭指揮を執っている創業者の安田隆夫氏が19年1月に取締役(非常勤)に復帰することを決めた。

 DON DON DONKIはシンガポールや米国で39店舗展開しているものの、海外の知見は乏しい。中間所得層が伸びる中国や東南アジアなど、海外展開のノウハウでは伊藤忠に一日の長がある。伊藤忠の海外ネットワークをフルに活用しながら、海外事業の拡大に取り組む。仕掛け人が安田氏であることは言うまでもない。「ドンキHDが伊藤忠を取り込んだ」(ライバルの総合商社の首脳)との見方が出ている。

 ユニー・ファミマHDは、TOBを実施してドンキHD株の20%を取得する計画で、12月19日をもってTOBを終了した。TOB価格(1株6600円)をドンキHDの株価が常に上回っていたことから、買い付け株数の上限(3120万8700株)に対して、応募はわずか2万4721株にとどまった。ドンキHDの3割の株を保有する大株主の安田氏から「20%相当の議決権を借りる」ことも考えていたが、これを見送った。貸株でほぼすべてをまかなうかたちで持ち分法適用会社の要件を満たし、ドンキの利益(の持ち分)を業績に上乗せするのは望ましくないという判断に傾き、安田氏の持ち株を借りることを止めた。ユニー・ファミマHDからドンキHDへの取締役1人以上の派遣も中止する。

 伊藤忠はドンキHDをほかに取られたくなかった。楽天や三菱商事もドンキHDとの接点を求めていた。「先にドンキHDを事実上、取り込んだことでホッとしている」(伊藤忠の幹部)と本音が漏れる。

 安田流の必勝法は、捨て身で相手の懐に飛び込み自家薬籠中のものにすることだ。TOBが不調に終わったが、ユニー・ファミマHDはドンキHDをグループ会社化する方針に変更はないとしている。だが、これほどTOBの応募株数が少なかった(それだけドンキの株価が堅調だった)ことが、今後の両社の関係に微妙に影を落とす可能性がないとはいえない。
(文=編集部)

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