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「高くなった」日高屋、客離れで急成長ストップ…深刻な壁に直面、従業員待遇改善の罠

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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成長の原動力「長時間営業」の見直しを迫られる

 さらに、人手不足も出店を鈍らせる要因となっている。人員が確保できなければ、運営はままならない。日高屋の成長の原動力のひとつであり、人手不足の原因にもなっているのが「長時間営業」だ。午前11時~翌午前2時の営業を基本とし、一部の店舗では24時間営業している。大半の店舗が駅前繁華街立地という特性を生かして、遅い時間でも集客を実現してきた。しかし、折からの人手不足により、深夜帯を中心に人員配置が難しくなっており、営業時間の短縮を余儀なくされる店舗も出てきている。このようにハイデイ日高では人員確保に苦戦しており、出店戦略にも悪影響を及ぼしている。

 もちろん、人手不足の解消を図るための対策は講じてきている。一部の店舗で営業時間を短縮したほか、昨春にアルバイトの時給を一律で20円引き上げている。また、昨春に日高屋で労働組合が結成された。流通や外食などの労働組合が加盟するUAゼンセンによると、日高屋の労働組合は組合員数が約9000人で、外国人のパートやアルバイトが約3割を占めているという。増加している外国人労働者を含めた従業員の待遇改善を進めることで、人手不足を解消したい考えだ。

 ただ、こういった施策は、収益性の悪化につながりかねない。事実、ハイデイ日高の18年3~11月期の売上高販管費比率は61.3%と、前年同期の60.5%に比べて悪化しており、利益率の低下につながっている。売上高営業利益率は11.7%と、業界の中では極めて高い利益率であることには変わりはないが、前年同期(12.4%)からは悪化しており、油断はできないだろう。

 全国展開の難しさもある。このことは幸楽苑が証明している。幸楽苑は、関東と東北に集中出店することで成長してきたが、チェーンが500店を超えたあたりから業績に陰りが見え始めた。北海道や西日本にも店舗網を広げたが、知名度の低さなどが影響し苦戦が続いた。そういったなかで異物混入問題が起こり、客離れが加速した。それを機に新規出店は関東と東北に絞り、立て直しを目指している。

 日高屋の店舗数は400店弱と“500店の壁”の目前に迫り、試練に立たされている。また、ハイデイ日高全体では現在、直営総店舗数が約420店だが、600店体制の構築を当面の目標としており、それを達成できるのかも注目される。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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