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インド、年内に月着陸船を打ち上げ…超小型衛星、世界中で打ち上げ競争激化の理由

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イプシロンロケット2号機打ち上げの瞬間(提供=JAXA)

 1月18日、日本のイプシロンロケット4号機が打ち上げられました。イプシロンロケットは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とIHIエアロスペースが開発し、2013年に初号機が打ち上げられた3段式ロケットです。全長26m、軌道投入能力は1.5tで、無人宇宙貨物船「こうのとり」などを打ち上げるH-2Aロケットよりも小型のロケットです。今回、このロケットに7基もの人工衛星が搭載されました。

 人工衛星といえば、前回紹介した「いぶき2」や、天気予報などでしばしば耳にする「ひまわり」などがすぐに思い浮かびますが、それらは何トンもの重さのある大型衛星です。一方で、近年は手のひらサイズの超小型衛星がメキメキと力をつけてきています。超小型衛星あるいは「キューブサット」(CubeSat)などと呼ばれる衛星は、18年から世界各国で打ち上げ例が急増しています。

 超小型人工衛星は最初期段階では技術的に未知の領域だったこともあり、打ち上げそのものが目的で宇宙から電波を出すだけの衛星が多かったものの、現在では高性能なカメラや観測装置を一辺わずか十数センチのサイコロの中に搭載し、大型衛星に匹敵する観測を行ったり、火星まで行って通信を行ったりするものも登場してきました。また、東南アジアやアフリカなどの大型衛星を開発することが困難な国々においても国家プロジェクトで超小型衛星を開発し、自国の宇宙産業育成や国土観測に役立てている例もあります。

 超小型衛星のメリットは開発が比較的簡単・安価であることに加え、1基のロケットでより多くの衛星を打ち上げることができる点にあります。これは、いわゆる「相乗り」という方法です。打ち上げるロケットの余力を活用してメイン衛星と共に打ち上げられる人工衛星を「ピギーパック衛星」といい、日本で最初のピギーパック衛星は、1986年に測地実験衛星「あじさい」と共に打ち上げられた日本アマチュア無線連盟によるアマチュア衛星「ふじ1号」(JAS-1)でした。

 しかし、衛星ふじは質量が50kgもあり、現在の超小型衛星と比較するとかなり大型の人工衛星でした。手のひらサイズの衛星としては、2006年に太陽観測衛星「ひので」に相乗りして北海道工業大学が打ち上げたHIT-SAT(ヒットサット=質量2.7kg)が最初です。

 この時代の超小型衛星はメイン衛星の「ついで」に打ち上げられるようなものだったため、打ち上げに関する自由度も低く、まさに放り出されるという表現に近いものがありました。しかし、最新のイプシロン4号機は新開発の衛星分離ユニットPAF-937M-E2型やキューブサット放出装置 E-SSODが搭載され、衛星分離ユニットに装備された噴射装置で何度も巧みに姿勢を変えながら衛星を1基ずつ順番に軌道に投入していく、芸術的ともいえる方法が採用されています。

ロケットから見た、放出された衛星が列をなす様子(提供=ISRO)

米スペースXは64基の衛星を同時に打ち上げ


 一方、アメリカでは、2018年12月に民間の宇宙開発企業スペースXが自社開発のファルコン9ロケットを使用して64基の衛星を同時に打ち上げることに成功しました。一度の打ち上げで軌道投入した衛星の数としては、アメリカ史上最多です。

『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』

地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。

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インド、年内に月着陸船を打ち上げ…超小型衛星、世界中で打ち上げ競争激化の理由のページです。ビジネスジャーナルは、連載、インドロケット人工衛星宇宙の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

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