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空自F35A墜落、政治的事情でハイテク機を次々導入の犠牲か…現場は訓練追い付かず疲弊

構成=長井雄一朗/ライター
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 3年前に航空自衛隊の双発機U-125が御岳にぶつかる墜落事故がありました。機長は、航空自衛隊の展示飛行チーム「ブルーインパルス」の編隊長を務めた経験もあるスター的なベテランパイロットだったのです。ところが機長が山の高度を誤認するなどの基本的なミスがありました。また、2年前に陸上自衛隊の双発機が函館周辺の谷の斜面に墜落した事故もありました。同じくこちらも操作ミスです。

 実はヒューマンファクターに基づく事故が最近、相次いでいるのです。F35Aやオスプレイを配備する際、訓練に十分に対応できる人員がいるのかと疑問視されています。たとえばオスプレイは固定翼と回転翼の経験がなければ飛べませんが、今の陸自ではそれだけの経験を持っている人が少ない。民間航空機と異なり、ライセンスは不要です。上官が「このあたりで大丈夫だろう」と判断すれば、乗務させますから、F35Aも同様な流れになるのではないでしょうか。そういうなかで十分な訓練が行われているかについて危惧しています。今、自衛隊も人手不足ですから、シミュレーター訓練は少なくなり、今回のように実戦さながらで訓練させます。

自衛隊、現場のストレスとプレッシャー

――なぜ現場の隊員の訓練が追い付かないほど、最新鋭仕様の戦闘機や武器が次々と導入されているのでしょうか。

杉江 F35Aやオスプレイの導入については、日米政権のトップレベルで話を決めた政治主導案件です。当時の民主党政権下の玄葉光一郎外相と森本敏防衛相が話を進め、それが今の安倍政権に引き継がれています。本来であれば、現場で十分運営できる訓練体制が整備されているかについてヒアリングした上で話を進めるのが望ましいのですが、政治主導での意思決定であることから、自衛隊の現場のストレスとプレッシャーが溜まっていることは理解できます。自衛隊も人手不足ですが、民間の航空会社も同様で、自衛隊からの引き抜きも行われています。要員不足もあり、隊員は実践訓練に対応しきれていないことは想像できます。

――政府は今後、A型を105機、短距離離陸・垂直着陸が可能なB型を42機調達する計画です。

杉江 今後も類似する事故が起きると思います。現場から意見を吸い上げ、能力も点検してF35Aやオスプレイを購入するプロセスではなかったので、どうしても無理が生じるのです。航空幕僚監部も本音は何を思っているか、わかりません。「体制が整っていないのに勝手に決められて困る」と不満を漏らしている可能性もあります。

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