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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

昨年11月頃から景気後退局面入りの可能性…消費増税見送りも含めた議論本格化か

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
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 そこで、今回の局面について簡便的にHDIを推定してみた。ただ、データにかなりぶれが生じやすくなっているため、今回はブライ・ボッシャン法の移動平均の一つにも採用されている3カ月移動平均値も用いて考慮した。

 一致指数を構成する9の系列を見ると、有効求人倍率を除く8系列が 2018年10月までに山をつけたと事後的に判断される可能性がある。このため、この8系列が2018年10月にピークアウトしたと判断されれば、9系列中過半の8系列以上が山をつけることになる。こうなれば、日本経済はHDIが50を下回る可能性のある2018年10月あたりが景気の山となり、翌11月あたりから景気後退局面入りと機械的に判断される可能性がある。

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景況感の観点からも景気後退の可能性

 ただ、政府の公式な景気動向指数研究会で景気の山・谷を設定するに当たっては、HDIの試算に加えて、(1)転換点を通過後、経済活動の拡大(収縮)が殆どの経済部門に波及・浸透しているか(波及度)、(2)経済活動の拡大(収縮)の程度(量的な変化)、(3)景気拡張(後退)の期間について検討する。併せて、念のため、参考指標の動向が整合的であるかどうかについても確認する。

 そこで、これらについても具体的に見てみると、波及度については8/9系列が2018年10月にピークを付けている可能性がある。また量的な変化については、2019年1月の鉱工業指数の結果などから一致CIが1月に大きく低下している。

 したがって、これらの指標の動向を勘案すれば、機械的に判定したHDIが50%を下回っても、景気の波及度や量的な変化といった観点から2014 年4月~2016年2月までHDIが 50%を割ったのに景気後退と認定されなかったが、今回こそは景気後退局面入りと最終的に判断される可能性があると判断できよう。ちなみに、今後の景気がさらに悪化し、2018年9月期が景気の山となれば、今回の景気拡大局面は70カ月となり、戦後最長の景気回復 73カ月は更新できないことになる。

 従って、ゴールデンウィーク明けの5月20日に公表される1-3月期GDPの大幅マイナス成長の可能性も合わせて、今後の動向次第で日本経済の景気後退局面入りの認知度が高まれば、今年10月に控える消費税率引き上げを本当に実施しても大丈夫なのか、という議論が盛り上がる可能性もあろう。消費増税の行方を見る上でも今後の景気動向からは目が離せない。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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