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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

アメリカ、私立大学の学費は年700万円…莫大な医療費や居住費がかかる国の正体

文=篠崎靖男/指揮者

莫大な費用を要するアメリカでの暮らし

「自由の国」アメリカは、少しでも人より良い生活をしようとするだけで、莫大なお金がかかります。医療費もバカ高いし、安全な地域に住みたければ住居費も高くなります。何よりも高いのは大学の学費です。日本の一流私立大学に通うのも大変かもしれませんが、アメリカの大学は比べものになりません。

 たとえば、アメリカの名門・ハーバード大学は私立なので、2016~17年のデータでは、年間の学費が最低でも6万2250ドル(約700万円)です。一般の公立大学でも年間平均して300万円くらいかかるので、4年間では大変な額になります。破格に学費が安い、地方のサウス・ダコタ州立大学でも年間100万円程度かかります。公立大学といえども州によってかなりの差があり、一番高いバーモント州立大学では、年間400万円近くになるようです。

 少々裕福な家庭でも、こんな額を出すのは困難です。しかも、これには生活費は含まれていないので、4年間での出費をトータルすると莫大なお金が必要になります。大金持ちのトランプ大統領であれば全額を私費で出せるかもしれませんが、どれだけ優秀な学生でも、簡単には一流の大学に行けません。しかも、大学のレベルが高ければ高いほど、優秀な教授に高額の年棒を支払い、研究費にもお金をかけなくてはならないので、寄付を集めるだけではお金が足りず、学生にも高額な学費を負担してもらう必要が出てきます。そこに、アメリカの奨学金制度の理由があるのです。

 アメリカの奨学金は、大金持ちからの寄付で成り立っています。つまり、優秀な学生に奨学金を与えることは、大学側にとっても寄付金をもらっていることと同じなのです。優秀な学生を集めれば奨学金が付いてくるわけで、大学にも実入りがあるのです。

 現在、眞子妃殿下の婚約者である小室圭さんは、フォーダム大学・ロースクールに留学していますが、報道によると、その学費は年間650万円になるといわれています。到底、個人で支払える額ではありません。そのため、奨学金を受けることが前提となります。アメリカで日本人が州弁護士免許を取るのは、並大抵ではありません。小室さんのチャレンジ、同じ日本人として、がんばってほしいと思います。

 とはいえ、やはりアメリカは魅力的な国であることに変わりありません。小室さんも、せっかくのニューヨーク生活なので、たまには当地のメトロポリタン歌劇場の『カルメン』や、ニューヨーク・フィルハーモニックが演奏するチャイコフスキーの交響曲を聴く時間も持っていただきたいと願っています。
(文=篠崎靖男/指揮者)

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

 桐朋学園大学卒業。1993年ペドロッティ国際指揮者コンクール最高位。ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクールで第2位を受賞し、ヘルシンキ・フィルを指揮してヨーロッパにデビュー。 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後ロンドンに本拠を移し、ロンドン・フィル、BBCフィル、フランクフルト放送響、ボーンマス響、フィンランド放送響、スウェーデン放送響、ドイツ・マグデブルク・フィル、南アフリカ共和国のKZNフィル、ヨハネスブルグ・フィル、ケープタウン・フィルなど、日本国内はもとより各国の主要オーケストラを指揮。2007年から2014年7月に勇退するまで7年半、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としてオーケストラの目覚しい発展を支え、2014年9月から2018年3月まで静岡響のミュージック・アドバイザーと常任指揮者を務めるなど、国内外で活躍を続けている。現在、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師(指揮専攻)として後進の指導に当たっている。エガミ・アートオフィス所属

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