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SHOWROOM×シタテルが、アパレル業界の常識を破壊してしまった

構成=長井雄一朗
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シタテルとSHOWROOMのコラボの意義

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――販売の手ごたえはどれほどありましたか。

鍛冶村  そもそも、SHOWROOMは「1万人のファンを持つ1人のアイドル」を囲うのではなく、「100人のファンを持つ100人の多種多様なアイドル」を擁することがコンセプトです。今回はSHOWROOM で人気16人の配信者と取り組みました。ライブコマースで販売した後にPARCOで展開しましたが、全部で1500枚売れました。

 これだけの短期間に大量販売できたというのは、アパレル業界ではなかなか見られない現象です。普段、洋服を販売しているPARCOでも「何事だろうか」という感想があったほどです。今回は、16人の配信者がそれぞれオリジナルTシャツを2種類つくりましたが、配信者が手描きした絵をシタテルのグラフィッカーがグラフィックにして、サンプルをつくるというシステムでした。その大きさも多様でしたが、シタテル独自のネットワークによって、迅速な制作を実現できました。

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――シタテル独自のネットワークが、今回の販売に結び付いたというわけですね。

鍛冶村 シタテルは日本中に工場や企画、プリントなど2次加工するネットワークを保有し、小ロットのTシャツを容易に制作できる体制を築いています。服を制作したい人(登録者1万3000人)、服をつくれる側(工場・サプライヤー700社と業務連携)をつなげる「衣服生産プラットフォーム」を構築しています。

 シタテルは工場そのものを保有せず、必要な時に必要なリソースを組み合わせ、制作できるようにしています。今回のTシャツも、グラフィックデザイン、生地や工場の選定を行い、製品を素早く納品しました。これらのやり取りはネット上で完結しますが、コミュニケーションデータや設計図もシタテルのプラットフォームにストックされ、あとで検索できることが強みです。そのため、いろんなアイテムを仕立てることが可能なのです。

――今回はTシャツでしたが、ほかのアイテムも期待できそうですね。

鍛冶村 アイテムを増やす構想があります。すでにいくつか候補も挙がっており、SHOWROOMと話し合いをしています。

物づくりと小売りに革命的な流れか

――今後、SHOWROOMの配信者に限らず、インフルエンサーとそのファンが共同でいろんなものを制作するケースも増えそうですね。

鍛冶村 これまでは、企業(ブランド)が商品を企画・販売し、既製品から消費者が選択して消費していくことが一般的でした。これを我々は、「プロダクトアウト型」と呼んでいます。しかし、これからは「共創」がキーワードになるのではないかとみています。

 今回のように、SHOWROOMの配信者が自分のブランドをつくりたいと考え、アイデアを出します。その配信者の持つコミュニティー内で、視聴者を巻き込んで「A案がいい」「B案も悪くない」などと意見を出し合い、商品を企画し、生産。そしてそれをコミュニティーやファンが消費するという社会が到来するのではないかと思うのです。

 インターネット・SNSの発展により、消費者の価値観と消費行動が多様化し、「価値の提供」から「価値を共創」の時代への転換期を迎えているのではないでしょうか。ただ、すべてが変わることはなく、機能性を重視し、企業が提供するブランドで満足される方も当然いるでしょう。新たなものづくりや流通が生まれ始めているのです。海外ではこのような流れがすでに始まっており、日本でも同じ流れになっていくと考えています。

 これまではタレントなどがグッズ制作などを行う場合、事務所や商品制作会社が間に入り、利益を大幅に中抜きしたり、自分たちのブランディングの一部に取り込んでいたこともありました。しかし、その中間を省くことによって、インフルエンサーとファンが構成するコミュニティー内で直接やり取りし、消費者参加型のものづくりをすることが可能になりました。企画から製造まで一気通貫で実施していくことは大きな潮流となっています。

 ここで気をつけなければならないのは、その商品の品質です。インフルエンサーには発信力はありますが、当然、製造のプロではありません。しかし、実際に商品を売るためには信頼が必要です。ブランドは永続性を持たなければならないのです。その点、インフルエンサーが実現したい世界観を壊さずに、製造のプロが制作する商材として提供できることがシタテルの強みなのです。とはいえ、シタテルはあくまで黒子で、彼らのコミュニティーのサポート役に徹します。

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