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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

ZOZOと前澤社長、すでに限界だった…ヤフーによる買収は孫正義氏の英断、無限の成長へ

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
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 ところが、そんな危惧は杞憂に終わり、18年度のPBの年間売上高はわずか約30億円で、その赤字額は125億円だったという。つまりZOZOに参画しているアパレルメーカーにとって脅威ではなく、むしろ笑いものとなって終わった。

 そのPBを軌道に乗せるマーケティングツールとして鳴り物入りで発表、導入されたのがZOZOスーツだった。それを着ると自動的に全身採寸できるという独自のもので、ZOZOではPB、すなわちオーダースーツへの導入ギミックとして無料で配布していた。18年7月の段階で110万着以上を配布したとされている。同社によれば「今後1年間の間に600万から1000万着の配布を実現したい」とのことだった。その時点での年間購買者数が739万人だったことを考えれば、これはとても無謀な数字だった。

 ZOZOスーツは結局、無償配布の有効性を問う前に、その使い勝手や機能のために高い評価を得ることなく、消費者から大きな支持を得ることはできなかった。

 前澤氏のもうひとつの大きな蹉跌は、18年に導入した「有料会員優遇制度」だった。ZOZOで有料会員となった顧客は、一定の割引が受けられるというものだったが、参加メーカー個々との価格ポリシーとの整合性を検討・相談することが十分でないままスタートしたので、いくつかのメーカーの離反、すなわちZOZOからの撤退を招いてしまった。

 これらの経営上の悪手もあり、ZOZOの株価はピークの4830円(18年7月)から、19年夏には2000円前後と半値にまで値を下げてしまっていたのである。

革新は偉大な個人から生まれ、組織やチームから生まれることは少ない

 このように、17年頃から経営上の革新的施策の打率が下がってきた時期に、前澤氏はプライベート面では話題を提供し続けてきた。高額な美術品の購入や、華麗な社交や交際、そして月旅行への準備などである。その背景として、前澤氏自ら「経営者としての革新の継続」への疲れ、あるいは限界を感じていたことがあったのではないか。企業としても経営者としても「成長曲線」は高原状態に陥る時期がある。そんな時期、経営者としては迷いが出るものだ。そこで常々尊敬する先輩経営者である孫氏に相談に行ったのだろう。

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