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水1本9円…「まるごと安い!マルヤス」賞味期限切れ食品が激安で買え大人気

文=松嶋千春/清談社
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マルヤス 大森町店 (@maruyasu_oomori) | Twitter」より

 2019年10月1日、「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行された。食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品を指し、農林水産省が公表した平成28年度の食品ロスの量は推計で約643万トンにものぼる。

 食品ロスが社会問題化するなか、賞味期限が迫っていたり切れていたりする食品を激安価格で販売する異色のスーパーマーケットマルヤス」が注目を集めている。消費増税で家計の負担が増していることもあり、今後も需要が高まりそうな同店を訪ねた。

 埼玉県のJR蕨駅からバスで数分、産業道路沿いにマルヤス川口芝店は位置する。40坪ほどの店舗中央のシマにはダンボールに入った商品が平積みされ、親子連れや年配の客が商品を躊躇なく買い物カゴに放り込んでいる。そんななか、真剣な眼差しで商品の配置換えを行っているのは、マルヤスを運営する合同会社「ファンタイム」代表の松井隆氏だ。

 松井氏はグループ会社で女性肌着などのネットショップを運営していた。当時、食品を扱う仲間のネットショップから「いつも、賞味期限切れの食品を費用をかけて捨てている」という話を聞いたことをきっかけに、畑違いながら食品ロス問題について考えるようになったという。

「まだ食べられる食品をわざわざお金をかけて捨てるなんて、賞味期限切れとは無縁の商品ばかり扱ってきた私にとってはカルチャーショックでした。そうした商品を売ることができれば食品ロス対策として世の中のためになるし、ニッチなビジネスとして勝機もあると思い、実店舗立ち上げに至りました」(松井氏)

96%オフのドリンク、地域限定商品も

 マルヤスは、埼玉県川口市の川口芝店、東京都大田区の大森町店の2店舗を展開している。日持ちのしない「消費期限(安全に食べられる期限)」設定の食品は取り扱わず、「賞味期限(おいしく食べられる期限)」が設定された常温食品で期限が迫った商品を仕入れ、さらにメーカーが余裕を持って設定している賞味期限を平均的な安全係数で割り戻した「本来の賞味期限」を設定して、それまでに商品を売り切るようにしているそうだ。いわゆる“ワケあり”商品のため、安いものでは96%オフのドリンク類も並ぶ。

「ナッツ類など真空パックになっている食品は賞味期限を1年経過しても、ほぼ風味が維持されておいしく食べられますし、缶ビールも賞味期限から半年経過しても正常品と遜色がありません。お客様は最初はおっかなびっくりで賞味期限切れの食品を購入されていましたが、『味が変わらないのに安くて助かる』『乾物系は期限が切れていてもまったく気にしなくなった』という声をいただいています」(同)

 店内には、旬を過ぎた季節限定商品や北海道限定の「じゃがポックル」などご当地商品も並ぶ。こうした商品は、海外向けECサイトの在庫が賞味期限間近になるとマルヤスに回ってくるという。普通のスーパーでは売っていない「限定品」を「安く」買えるということで、消費者には二重のお得感がある。

「日常的に食べるお米は定期的に入荷しますし、安定して売れます。一方で、スポットで入荷する商品は、まさにそのときしか出会えないもので、お客様には宝探し的に買い物を楽しんでいただけると思います」(同)

1店舗で年間200トンの食品ロス削減に

 マルヤスの仕入先は、小売、卸、メーカーと多岐にわたり、官庁や企業などから備蓄品を買うこともあるという。実際に、店内には横浜市内の警察署から仕入れた非常食セットや、1本9円の水(500ml)が並んでいた。近年の災害への関心の高まりから、関東に台風が直撃した折には買い求める人が多かったという。

 こうした積極的な仕入れで売り上げも伸びており、現在はマルヤス2店舗で年間約200トンの食品ロスを削減している計算になるという。さらなる食品ロス削減に向けて、「まだまだ仕入れを強化したい」と松井氏は熱弁する。

「マルヤスの事業規模が拡大するほど、食品ロスの削減につながります。そのためには、仕入先の拡大が一番の課題です。商品を出す側は在庫の廃棄料がかからない上にお金になるし、仕入れる我々やお客様にとっては品数が増えるとうれしい。みんなにとって良いことなので、ぜひ各事業者さんは廃棄する前にマルヤスにお声がけいただきたいです」(同)

 消費者とすれば、激安価格で買い物できるだけでなく社会問題にも貢献できることになる。今後、マルヤスの存在感はさらに高まっていきそうだ。

(文=松嶋千春/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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