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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

年金受給、75歳まで繰り下げで84%増に?70歳まで働く時代の“老後資金リスク”

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
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「gettyimages」より

 60歳で定年、65歳まで継続雇用で働く――そんなイメージをしていた会社員の人生が一変するかもしれない。シニアの働き方にかかわる高年齢者雇用安定法や雇用保険法が改正されることになった。同時に、公的年金の改正も並走して進められる。我々の老後に直接かかわる改正だけに、ぜひ関心を持っておきたい。

 今回の改正を簡単に言うならば、「長寿社会なので、ぜひ長く働いてください。働いて収入があるから年金はまだ受け取らなくてもいいよというなら、もっと上乗せするので、できるだけ遅らせてください。それから、年金をもらいながら働くと年金が減らされる仕組みもありますが、それは緩和します」、つまりは「損しない仕組みをつくるので、とにかくできるだけ長く働いてほしい」ということだ。

 順を追って見て行こう。まず、現在の「高年齢者雇用安定法」は、65歳未満の定年制度を定めている企業に対し、65歳までの雇用を確保するため(1)定年の引上げ(2)継続雇用制度の導入(3)定年廃止のいずれかを義務付けていた。その理由は、公的年金の受給年齢が65歳となるからだ。年齢によっては厚生年金の報酬比例部分のみを60代前半で受け取れる場合があるが、現在40代の人はもう65歳までもらえない。60歳から65歳までの「年金空白期間」を埋めるために、高年齢者雇用安定法で企業に雇用を義務付けたのだ。

 今回の改正案では、さらにその期間を延長する。65歳から70歳まで、さらに働いてもらえるような制度導入を企業に促す(2021年4月からの施行)。働き方として、これまでの継続雇用以外に業務委託契約なども含まれる。ただし、現在のところはあくまで努力義務だ。

 それと同時に「高年齢雇用継続給付」が縮小される。これは、60歳時点と比べ、賃金が75%未満の金額に下がった場合に給付金が受け取れる制度。現在は60歳以降の賃金に対し上限15%までのプラス給付だが、2025年にそれを引き下げる。65歳以降も働けるからいいですよね、という理屈のようだ。

年金受給は75歳まで繰り下げで84%増に?

 長く働けるようになるんだから、年金の受け取り方についても連動しましょう、という改正もある。ひとつが年金受給開始時期の拡大。いわゆる「繰り下げ受給」の後ろ倒しだ。ずいぶんあちこちで取り上げられ、ご存知の方も多いと思うが、年金の受け取り開始を遅らせれば遅らせるほど、その金額を増やすことができる。65歳から受け取らず、ひと月でも遅らせれば月当たり0.7%が上乗せされる。現在は70歳まで繰り下げができ、それを選べば42%アップというすごい加算になるのだ。

 今回の改正では、70歳よりさらに後ろ倒して75歳まで受け取り時期を遅らせることができるようにする。もし、0.7%加算のまま月数が増えると、なんと84%ものアップになる計算だ。とはいえ、75歳まで年金をもらわずにいられるという人は、かなり健康で体力も資金力もある人だろう。ちなみに、繰り下げ分の元を取るには、受け取り始めてだいたい12年は生存する必要があるという。長寿家系の人は考えてみてもいいかもしれないが。

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