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売れ残り食品、廃棄せずにフードバンクへ寄付しよう!税制変更で全額損金算入可能に

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人
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「Getty Images」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな食堂は「こども食堂」です。

フードバンク」という言葉があります。まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を引き取り、福祉施設などへ無料で提供する団体・活動のことです。とってもSDGs(持続可能な開発目標)的ですが、まだまだ普及していません。

 しかし、2018年12月に新しい税制上のルールができたことで、急速に広がっていきそうな気配がする今日このごろです。「イッツ・ア・スモールワールド」よりちっぽけなぼくにできるのは、その税制上のルールを広めることくらい。今回は、食品を扱う多くの会社にとって有利な、フードバンクへの食品提供に伴う税制上の取り扱いを紹介します。

 フードバンクという活動は、全国の一般社団法人などが行っているようです。今回のルールで税制上有利になるのは、このフードバンクに寄付した食品会社や街の八百屋さんで、食品の提供を受けるフードバンク側には有利になりません。しかし、今までより食品が集めやすくなりました。

 これまで、食品会社が廃棄する予定の食品をフードバンクに無料で提供すると、寄付金として扱われ、ちょっぴりしか損金にできませんでした。会社としては、損金が多いほうがその年の法人税が少なくなりますから、ちょっぴりしか損金にできないのは避けたいわけです。すると、全額損金にできる“廃棄”を選ぶインセンティブが働きます。そう、捨てたほうが納める税金が少なくなる。慈善活動と企業利益を天秤にかけなければいけません。

 しかし、ルールが変わって、食品の場合は条件を守って寄付すれば全額損金にできるようになりました。捨てても、寄付しても、税金は変わらないのです。こうなると、多くの会社や八百屋さんやお肉屋さんが、寄付をしようと考えるのではないでしょうか。

 ぼくは昔、品川の駅の中でお酢のドリンクを売るアルバイトをしていました。そこでは、瓶詰めの商品は店頭に並べておける期間が決まっていて、一定期間を過ぎると倉庫にしまっていました。食品業界ではどこも似たような設定となっているようで、賞味期限が残り3分の1になったら、店頭から下げるなどの慣習があるようです。

フードバンクへの寄付が全額損金に

 こういった慣習的に販売しない商品をフードバンクに積極的に寄付すれば、おなかを空かせた子どもたちの胃袋を満たすことができます。それを税制面で支えているのが、今回の画期的なルールです。

 全額損金にするためには、社内ルールに基づいた廃棄処理の一環で行われる、食品の転売禁止、食品の情報の記録及び保存、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されている、などといった条件があるので、もし実施されるのであれば国税庁のホームページをご覧いただければと思います。

 損金にできる費用には、フードバンクに提供する食品自体の価格や提供のための運送費、人件費などが含まれるようです。

 会計処理上、販売する前の商品は、製造や仕入れにお金がかかっていても損金にせず、資産として計上しています。仕入れたときに会社からお金は出ていきますが、在庫として残っているので経費にできないわけです。売るか売れ残りを捨てると、そのときに損金にできますが、寄付しても損金にできることになったのが、今回のルールです。

 フードバンクでは、食品の回収を行ってくれるところもあり、廃棄より食品会社側の負担が少なくなる場合があります。ただ、今回は法人税法上の取り扱いを国が示したことで、このルールができたため、個人事業者が食品を寄付した場合については明示されていません。

 街のお肉屋さんや八百屋さん、お菓子屋さん、スーパーなど、廃棄が出る個人事業者のお店は無数にあります。それらの廃棄の食品が寄付され、寄付分がすべて損金になれば、フードロスの問題はさらに改善していくと思われます。

 もし、みなさんの周りで食品を取り扱う会社がありましたら、まだあまり広まっていない、「食品を寄付した場合の新ルール」を伝えていただければ幸いです。

(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

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