残念ながら今年の6月末で終了してしまった「キャッシュレス・ポイント消費者還元事業」。キャッシュレス化を推進するために経産省が音頭を取り、民間企業も協力した大規模なこの事業は昨年10月から9カ月間行われ、事業者もさまざまなキャンペーンを実施、空前絶後の還元ポイントフィーバーが繰り広げられた。
なかでも印象的だったのは、「PayPay」による「100億円あげちゃうキャンペーン」である。ソフトバンクを後ろ盾にするPayPayは、圧倒的な資金投入と営業力でユーザーと加盟店を爆増させ、思惑どおりにキャッシュレス化を推進。いまや地方の個人店にまでQRコード決済が可能となった。
これに続いて、他社もキャンペーンを打ち出し、ユーザーの囲い込み合戦を展開。そのかいあってか、スマートフォン決済の割合はキャンペーン前の16.4%(2019年8月)から28.6%(2020年1月)まで上昇した。
それだけインパクトのあるキャンペーンだったのだが、期間が終了した今となっては、人々の関心もトーンダウンしてきているようにみえる。メディアでは、次なる“政府肝いり案件”の「マイナポイント」を推しているが、コロナ禍もあってかそこまで盛り上がってはいない。
まるで「祭りのあと」のようなキャッシュレス決済界隈だが、まだまだおトクなサービスは少なからずあり、キャンペーンが終わったからといって、以前のように現金主義に戻るのはもったいなさすぎる。
そこで今回はキャッシュレス・ポイント消費者還元事業のキャンペーンが終わった今でもおトクなサービスをいくつかピックアップしてみた。
LINE Pay
平均で0.5〜1%と、軒並み低還元に帰しているキャッシュレスサービスであるが、「LINE Pay」は現在でも最大3%の還元を受けることができる。
まず、LINE Payで還元を受けるには「Visa LINE Payクレジットカード」をつくって、LINE Payと紐付けることが必須である。普通の銀行口座からのチャージでも利用可能であるが、その場合はポイントの還元がされない。
この「カードをつくる」という部分の精神的なハードルが意外に高く、これ以上カードを持ちたくないと思う人も多いだろうが、この「Visa LINE Payクレジットカード」は、来年4月まで期間限定だが、通常のカード利用時の還元率が驚異の3%! カードでクレジット払いをするだけでも十分にお得なので持っておいて損はない。
このクレジットカードをLINE Payに紐付けると、コード決済利用時には最低でも1%の還元が受けられるようになる。「最低でも」と但し書きが付くのは、LINE Pay独自の「LINEポイントクラブ」というマイランク制度があるからだ。ランクにはレギュラー、シルバー、ゴールド、プラチナの4段階があり、それぞれ還元率は1%、1.5%、2%、3%となる。このランクは過去6カ月間に獲得したLINEポイントに応じて決まり、還元率のほかにも、お得な特典クーポンが1枚〜10枚まで配布される。
ちなみに、最高ランクのプラチナに認定されるには半年間で5000ポイントを貯める必要があるが、「Visa LINE Payクレジットカード」で得たポイントも含まれるので、当カードの高還元率を考えれば容易に達成できるだろう。
まさに使えば使うほどお得になるシステムであり、使い続ければ今後はキャンペーン時以上にポイントが貰える人も出てくるはず。利用額次第で誰でも高還元を受けられるおすすめコード決済サービスである。
d払い
携帯キャリア会社でシェアナンバーワンのNTTドコモが展開するコード決済サービスの「d払い」。還元キャンペーンが終わった今こそ、ドコモユーザーには使ってもらいたいサービスだ。
このサービスでは、通常、店舗で買い物をすると0.5%、ネットショップでの買い物だと1%の還元を受けられる。これだけでだと、特におトク感もないが、ドコモが独自に展開するキャンペーンを利用すると話が違ってくる。
それが「d払いお買い物ラリー」キャンペーン。これはドラッグストア、スーパーなどでの買い物で最大30%を還元するというもので、8月末までに2加盟店以上でd払いを使うとポイントの還元対象となる。期間限定であるものの、9月、10月も同様のキャンペーンが告知されているので、まだまだ還元を享受するチャンスは十分にある。
ただし、これらのキャンペーン対象となるのは、支払い方法がdカードの場合のみ。なので、持っていない人はまずdカードを作成するところからはじめよう。
このdカード、及びd払いは、ドコモが運営していることから、携帯電話のキャリアをドコモにしているユーザーが有利な条件が多いのも魅力。dカードGOLDでドコモ料金を払えば、+1%、dポイントクラブがプラチナステージだと+1%還元など、条件を満たすと還元率が上がっていく仕組みなのである。ドコモユーザーであるならば必須のサービスだといえよう。
ちなみに、d払いではマイナポイントとの紐付けで最大7500ポイント還元と、数あるサービスのなかでも屈指の高還元。まさに、いまが一番おトクといえるサービスだ。
au PAY
「au PAY」もKDDIが運営する携帯キャリア系サービスだが、こちらも独自キャンペーンを大々的に行っている。
基本的には0.5%の還元であるが、auが運営するサービスの会員になることで2%アップできる。1つ目は「auスマートパスプレミアム」への加入。映像作品や音楽、書籍などが月額499円で楽しみ放題のサービスで、これ自体で十分お得なのだが、auスマートパスプレミアムに入ると、1%還元がプラスされる。
もうひとつはau PAYカードでチャージすることで1%還元がプラスされるもの。au PAYカードはauが発行するクレジットカードだ。これによって、総額2.5%の還元率になるのである。
さらに7月からはローソンでau PAYを使うと、誰でも4%が還元されるキャンペーンを実施中。また、9月末まで東急ストア、サミット、近鉄プラザなどのスーパーマーケットで利用すると10%が還元され、9月13日までは出前館、ピザハットで利用すると同じく10%の還元が受けられる。
ちなみに、8月中は三太郎の日(3日、13日、23日)にローソンで利用すると、auユーザーであれば、10%の還元、ユーザー以外でも7%の還元が受けられた。
このように店舗や日にち限定で特別なキャンペーンをする可能性が非常に高いので、auユーザーはもちろんのこと、それ以外の人でもau PAYを使えばお得に買い物ができる。
(取材・文=清談社)