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木下隆之「クルマ激辛定食」

日産、新型「ノート」は復活へ本気の証だ…まさにNISSAN NEXTの具体化

文=木下隆之/レーシングドライバー
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日産自動車・新型「ノート」

 日産自動車が、事業構造改革計画「NISSAN NEXT」を発表したのは2020年5月のこと。中期計画には心躍る内容が含まれていた。販売的に苦境に陥っていた日産の起死回生。さまざまな魅力的な計画が盛り込まれており、我々を興奮させたのである。

 要約すると、概要は以下のようだった。

・ホームマーケット日本の再強化。
・2023年度末までにEV2車種、e-POWER4車種投入。
・電動化比率60%に向上。
・モデルの若返りを図り、車齢平均を4年以下に。
・新技術は日本から。

 日本市場を強化する姿勢は好意的に受け止められた。日産の復活を予感させるものだったのである。

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 さらに「電動化、自動運転化技術に集中し、競争力を高める」とも記されていた。その具体が新型「ノート」である。新しい日産のエンブレムを冠した初めてのモデルがノートであり、パワーユニットはNISSAN NEXTで宣言した電動化の象徴e-POWERのみの設定である。将来の自動運転技術のベースであるプロパイロットを搭載している。

 すでに販売が開始されている「キックス」は東南アジアのタイ市場からの逆輸入だったが、ノートは日本初だ。しかも、現在の発表では日本市場のみの投入だという。NISSAN NEXTにある日本マーケットの再強化に違いない。

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 ノートの完成度は、その立場に恥じぬものだ。伝家の宝刀e-POWERは、確実に進化している。搭載するガソリンエンジンは発電機としてしか機能せず、そこで貯めた電力も生かしてモータ駆動する。そのe-POWERスタイルを踏襲しつつも、エンジンへの依存度を下げている。モータパワーは280Nmまで強化、バッテリー残量が低下するまでエンジンは始動しない。EV加速力は強くなり、エンジンのノイズも少ないのだ。加速は極めてEV感覚の強いものなのである。

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 これにも仕掛けがある。ノートのe-POWERは、エンジンのノイズをロードノイズに紛れ込ませるような細工が施されているのだ。荒れた路面を走行するシーンでは、エンジンが始動することが多く、ロードノイズが低いシーンではエンジンの始動を控える。エンジン依存度の低さは、静粛性からも判断できるのだ。

 プロパイロットの搭載も、NISSAN NEXTで掲げた公約に則している。価格的な制約から、先進のプロパイロット2.0の搭載はない。だから、スカイラインに採用されているような100km/hでのハンズフリードライブや、高速道路の乗り換えすらクルーズコントロールするといった高度な仕様ではない。基本のプロパイロットである。

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 だが、ナビリンク機能を追加するなど、技術の研鑽には抜かりはない。カメラやレーダーで認識したなかでのコントロールではなく、制限速度が変わるなどした場合に自動で速度制御を変更したり、カーブに備えて速度コントロールもする。より運転支援技術が進化しているのである。

 このように、新型ノートは日産復活の狼煙に相応しく、NISSAN NEXTに忠実に則して進化しているのだ。今年の5月、NISSAN NEXTが発表されたときには、まだ日産からの具体的なモデルデビューの発表はなく、文言だけの中期計画にとどまるのだろうと思えた。だが、新型ノートがNISSAN NEXTに具体である。日産が本気であることがわかった。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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