
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
12月17日、東京都が確認した新型コロナウイルスの感染者は822人にのぼり、1日の感染者としては過去最多を更新したことが報じられましたね。感染者数は日に日に増加し、日本の医療体制はすでに危機的状況です。
他の深刻な病気の患者さんの手術予定日が延期になったり、救急車で運ばれても受け入れ先がなかなか決まらなかったりすることもあるそうです。また、新型コロナが直接的な原因ではなくても、間接的に影響を受けて、適切な処置を受けられずに尊い命を落とした方もいらっしゃいます。
残念ながら、これらの問題を一気に解決する手立てはありません。今しばらく、自分と家族を守るために感染予防の徹底をお願いします。一人ひとりが気をつけることが、一番の対策です。
歴代首相が全員ズレてしまう“官邸の魔力”
ここまで感染が拡大した理由はいくつかあると思いますが、「Go To キャンペーン」は、特に大きな原因のひとつといわれています。
14日には、菅義偉首相が突然「Go To トラベルの一時停止」を宣言しましたが、その数日前には「ニコニコ生放送」で「ガースーです」なんて柄にもないあいさつをして、ネット上で「無神経の極み」とか叩かれていましたから、驚いた方も多かったと思います。
なぜ今「ガースー」なんですかね? 以前から思っていましたが、官邸には「歴代総理が全員、世間とズレてしまう」という魔力でもあるんじゃないでしょうか。世論を肌で感じることができず、支持率の数字ばかり追いかけてしまうんですね。
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、Go To トラベルについて11日に「感染が急拡大している地域への適用除外」を提案していますが、菅首相はその提言を受け入れるべきだったと思います。
そのときは突っぱねていたのに、12日の毎日新聞、14日のNHKの世論調査の結果を受けて、急に「全国一律の一時停止」に舵を切りました。毎日の調査では内閣支持率が11月の57%から17ポイントも下落して40%になり、不支持率は36%から49%に上がっています。また、NHKの調査でも内閣支持率は42%と、14ポイントも下がりました。
世論調査の結果は公表される前に永田町に流れるので、今回の数字は神澤も事前に把握していました。毎日の結果も驚きでしたが、NHKの数字を見たときに、これは政権としても想定外だろうなと思いました。それだけ、世論と菅首相の感覚がズレてしまっていたのです。世論調査の結果を見た秘書仲間たちと「これはさすがに、菅さんもGo Toを止めるしかないよね」と話し合っていたら、案の定、その後に発表されました。
制度設計上、Go To キャンペーンは一部地域の適用除外ではなく、全国一律の停止になってしまうことは理解できます。それに、利用者からすれば、お得な料金で旅行や帰省をしたいと思うのは当然ですよね。政府はもっと早い段階で、キャンペーンの延期やキャンセル料の公費負担などを決断するべきでした。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。
