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国税庁、前代未聞の”コロナ特例”続出…地方税も同様、申告・納税の延期や条件緩和

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人
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「Getty Images」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな映画は「太陽光発電に調査がいっぱい」です。

 今年は、新型コロナウイルスの流行によって、確定申告などの税のルールが緩和されています。「請負の仕事が減ってしまった」「残業が減ってしまった」などの理由で、収入が減り、納税が困難になった方もいると思います。あるいは、確定申告を行わなければならないのに、コロナへの感染を恐れて税務署に行けない方もいるでしょう。行政は鬼ではありません。きちんと配慮して、特例を設けてくれています。

 たとえば、所得税の確定申告と納税の期限は、3月16日から4月16日に延長されました。しかし、4月といえば、緊急事態宣言が出された頃。3月にできなかった申告が、4月にできるわけがありません。

 そこで、4月16日の期限を過ぎてもウイルスの拡大状況に鑑み、申告が困難であった方については、期限を区切らずに柔軟に確定申告書を受け付けることとしています。具体的にいつまでに申告・納税するようにと決まっているわけではありません。申告書の作成や税務署へ行くことが可能になった時点で申し出れば、個別に申請することにより、申告期限の延長の取り扱いをすることとしています。

 この申告期限の延長については、何か特別に書類を作成する必要もなく、確定申告書を提出する際に、余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」といった文言を書くなどの、簡易な手続でよいこととされています。とても優しいですね。これほど税に関する制度が、広く国民全体に対して緩和されたのは初めてかもしれません。

 なお、上記の括弧の中の文言は、多少異なっていても意味がわかれば問題ありません。また、国税庁は、下記のような具体的なQ&Aを公表しています。

「私は、居酒屋を営む個人事業主です。コロナに感染したため、完治するまでの間、休業しました。この度の休業は、突然のことであったため、食材等を廃棄するとともに、店舗全体を消毒するなどの支出もありました。その後、営業を再開しましたが、しばらくの間は客足が戻らず、例年に比べて収入も少ないため、本年は赤字になる見込みです」

 Q&Aといいつつ質問の形を取っていないのですが、これに対し「青色申告であれば損失が翌年以降に繰り越せること、白色申告であれば他の所得と損益通算し、『事業用資産に生じた災害による損失等』は翌年以降に繰り越せる」と回答されています。

「事業用資産に生じた災害による損失等」には、以下のようなものが該当します。
・飲食店の食材の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気洗浄機等の購入費用
・イベントの中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

 また、該当しないものの例としては、
・客足が減少したことによる売り上げ減少額
・休業期間中に支払う人件費
・イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料
などがあります。

 国税庁のホームページでは、コロナに関するさまざまな特例を紹介しています。地方自治体に権限がある地方税も、概ね国税に準ずる扱いをしていると考えられます。また、税以外の支払いにも、なんらかの特例が設けられている可能性があります。

 新たな制度や特例を調べる余裕はないかもしれませんが、待っていても誰も教えてくれません。それぞれが頑張って困難を乗り切るしかありません。インターネットで調べ、行政に電話で確認して、少しずつ知っていただけたらと思います。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。

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