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病まない会社はこうつくる IT企業のメンタルヘルスマネジメント(4)

病まない会社をつくるためにマネジメントが考えること

文=編集部
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『IT技術者が病まない会社をつくる』(言視舎/浅賀桃子)

 急激な社会の変化や過重労働、人間関係など、さまざまな理由からメンタルを病んでしまう人が増え続けている。その中でも、IT技術者は比較的「病みやすい」環境に身を置いているため、メンタルのケアをしっかり行わなければいけない。

 この連載では、カウンセラーでありベリテワークス株式会社代表の浅賀桃子氏が執筆した著書『IT技術者が病まない会社をつくる』(言視舎刊)を通して、IT企業におけるメンタルヘルスマネジメントを紐解いていく。

 そして、IT業界特有の病んでしまう環境、メンタル不調者が出づらい組織の特徴、どんな組織をつくっていけばいいのか、事例を交えながら「病まない会社」づくりをサポートしていく。

多重下請け構造が社員を病ませる

 最終回となる今回のテーマは「病まない会社をつくるためにマネジメント層が考えること」だ。

 管理監督者や経営者は、自社のIT技術者、ひいては社員たちを病ませないためにどのような組織を目指せばいいのか。

 まず取り組むべきは、第1回でも取り上げた「多重下請け構造」からの脱却だが、なぜ多重下請け構造がいつまでもなくならないのだろうか。浅賀氏はその理由の一つが経営側にあると指摘する。

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『IT技術者が病まない会社をつくる』(言視舎/浅賀桃子)

 特に技術者派遣型の仕事の場合は、自社開発のようにプロジェクトが途切れて売り上げが上がらない時期にも給与を支払うというリスクを取らなくてよく、人を客先に送り込めれば原価割れの心配がないため、少ないリスクで利ザヤを獲得できるという経営的なメリットがある。

「人を客先に送り込めば」については、エンジニアのスキルよりも単価の高い客先に送り込めば、さらにラクに利ザヤを獲得できる。つまり、履歴書を「盛って」送り込むのだ。また、第1回でも説明したように下請け構造は元請け、二次請け、三次請けと深くなっていく。もちろんそこでは待遇面に差が出る。

 経営者にとって利益は大切。だからこそ下請けから脱却することが難しいのだろう。しかし、この構造がエンジニアのモチベーション維持を妨げ、メンタルを病ませてしまう一つの要因になっているのだ。

評価制度に納得性があるかどうか

 また、メンタル不調になるきっかけとして「評価への不満」も挙げている。

 特にエンジニアの場合は、数値化や定量的な判断が難しい。それゆえに、被評価者からの納得感が得られづらくなる。また、本部や事業部、人事の責任者が評価者になると、技術について詳しくないことから、正当な評価がなされない可能性がある。一方、技術マネージャーが評価すればいいのかというとそういうことでもない。技術の多様化によって、すべての技術に詳しいというエンジニアはごく一握りとなっている。

 では、どんな評価が望ましいのか。浅賀氏は「いかに納得性が得られるようにするか」が重要だと考えている。それは、評価者に対する信頼性や普段からのフィードバックの仕方などに基づくものだ。

 評価は社員のパフォーマンスやモチベーションを高め、生産性を高めるために行うのが目的。納得を持って評価を受け入れてもらうためには、会社としてどのような人材を評価するのか、どんな考え方で仕事をしてほしいと考えるのかを明文化し、事前に提示しておくことが大切だ。

ミドルマネジメントが鍵になる「キャリアプラン」の重要性

 もう一つ、キャリアプランもIT技術者を病ませる要因になっているという。たとえば、「社外勉強会で同世代エンジニアのレベルの高さに驚いたものの、自分はレベルの高い仕事を任せてもらえず成長できない」といったことや「自分が身につけたい技術に関係する案件に入れてほしいと希望を伝えたものの、なかなかアサインされない」といったことが起こる。

「会社に対してキャリアプランを期待することは極めて難しい」という状況は少なからずある。特に「多重下請け構造」であったように利ザヤ優先になってしまうと、キャリアプランが客先次第になりかねず、行き当たりばったりを繰り返すことになる。エンジニアとしての最低限の教育すら提供されず、若手技術者は意欲をなくしていってしまうのだ。

 これを防ぐには、人事部門がサポートをしっかり行い、現場の管理者がエンジニアの育成要件を定め、教育を行っていく必要がある。客先にキャリアプランを任せるのではなく、会社としてミドルマネジメントが部下の希望を聞きながら適性を考え、キャリアプランをしっかり立てて、サポートしていくことが求められるのだ。

 病まない会社をつくるためには、経営者、管理監督者、管理職、そして社員まで一丸となって取り組まなければいけない。この4回の連載を通して、自分の会社に当てはまったというケースもあったのではないだろうか。そこを見直して、より注意深く現場を見て、改善していってほしい。

(文=編集部)

※本記事はPR記事です。

BusinessJournal編集部

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