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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

兵庫県知事選、自民党“分裂”で混乱極める…20年君臨の井戸知事が不出馬

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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井戸敏三神戸県知事(YouTube「ひょうごチャンネル」より)

 7月に投開票される兵庫県知事選で半世紀ぶりの保守分裂が決定的となった。20年にわたり知事を務めた井戸敏三氏が不出馬を表明したことで、後継者争いが本格化。当初は最有力候補だった現職副知事を不服として、一部の自民党県議が新たに会派を設立し、前大阪府財政課長を候補として担ぐなど混乱を極めている。新会派は大阪維新の会との協力を模索するなど、保守王国として名をはせる兵庫県が揺れている。

井戸知事とシンパの自民県議団が強引に知事候補を一本化

「こんな拙速で強引な知事候補の決め方があるか」――。兵庫県議会最大会派の自民党県議団から離脱した県議11人からなる「自民党兵庫議員団」。その立ち上げの中心メンバー、石川憲幸県議はこう憤りを隠さない。石川氏は県議会議長も務めるなど自民党県議団の重鎮で、「これまで県政を議会サイドからまとめてきた大黒柱」(自民県議)だ。普段なら分派することなど考えられない保守本流というわけだが、なぜ今回の県議団脱退に至ったのか。石川氏はこう話す。

「自民党県議団のなかで、昨年8月に知事選候補を決める検討調査会を立ち上げたのですが、金沢和夫副知事は政治家には向いていないのではないかという声が少なくなかった。そんななか、井戸知事が次の選挙には出馬しないことは半ば既定路線でしたから、金沢氏が選挙に向けて支援者回りなどに取り組まなければいけなかったわけですが、その努力がまったく見られない。この人に知事を任せていいのかという不信感が自民県議団のなかで出始め、前大阪府財政課長の斎藤元彦氏や尼崎市出身の総務省官僚の名前が取り沙汰され始めました。

 選考レースが激しくなることを恐れた井戸知事は、昨年12月の県議会最終日に電撃的に退任を表明し、金沢氏への支持を匂わせた。井戸知事から『金沢を頼む』と耳打ちされていた自民県議団幹部も歩調を合わせる形で、多数決で無理矢理、金沢氏への立候補要請を決めたのです。議論がまったく尽くされず、だまし討ちのような形を取られた。自民党有志で新たな候補を立てようと考え、知遇を得た斎藤氏への支持を打ち出したというわけです」

役人根性丸出しの金沢氏

 では、今回の知事選の最有力候補となる2人について見ていこう。

 まずは現職副知事の金沢氏から。金沢氏は1979年に旧自治省入省後、総務省大臣官房審議官などを経て2010年4月に副知事に就任した。総務省キャリアとして兵庫県知事含みでの副知事就任だったが、兵庫県政関係者の間では「デスクワークはそれなりにできるが、発想もなく決断もできない典型的なお役人上がり」との評価が定着しており、リーダーとしての資質が疑問視されていた。以下は内情に詳しい兵庫県OBの弁。

「そもそも、井戸氏は金沢氏と馬が合わず、総務省との関係を維持する必要から仕方なく副知事として扱っていた。県庁幹部もそのあたりはよく見ていて、肝心な情報はほとんど金沢氏には上げておらず、蚊帳の外という印象です。

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