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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

「プロテインを飲んではいけない」は本当?“筋トレドクター”が解説

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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「Getty Images」より

「プロテインを飲んではいけない」と警鐘を鳴らす医師の記事が話題となっている。

 インターネット上では賛否両論が飛び交っているが、実際のところはどうなのか。“筋トレドクター”の愛称を持ち、トレーニングに詳しいくぼたクリニック松戸五香院長の窪田徹矢氏は、こう語る。

「『プロテインは腎臓に悪い』vs.『トレーニング時などではプロテインは体にいい』という極論が、正しい理解を遠ざけていると思います」

 プロテインを摂取する人の条件は同一ではなく、その人の年齢や健康状態、食生活などによって、効果的となるか有害となるかの評価は異なってくる。

高齢者や基礎疾患がある場合には注意を

 多くの場合、自覚症状はないが、実は成人の腎臓の機能は加齢と共に低下していく。基礎疾患がなく健康な人の場合でも1年ごとに1%程度、腎機能は低下するといわれる。さらに、糖尿病や高血圧などの基礎疾患が加われば、1年に2~5%もの機能低下が起きる場合もある。健康寿命が注目される昨今、トレーニングを行う高齢者も増えているが、それに伴う問題ともあるという。

「高齢の患者さんが、血液検査でクレアチニン値(腎機能を表す検査値)が急に高くなることがあります。生活に変化がなかったかなど詳しく聞いてみると、『トレーニングを始めて、ジムでプロテインを勧められて飲んでいます』と聞くことが、これまでも何度かありました。そんな時は、『プロテインが腎臓に負担をかけるからやめましょう』と説明します」(窪田医師)

 クレアチニンは腎臓でろ過され、尿として排出される。クレアチニン値が高いということは、腎臓が十分にクレアチニンをろ過できず、血中濃度が上昇してしまっているわけで、腎臓の機能低下を意味する。高齢者や基礎疾患がある人は、安易にプロテインを摂取すべきではないだろう。

中身が大事

 トレーニング後にプロテインがいいというのは、あくまで健康であることが前提だが、プロテインによっても違いがあり、注意が必要だという。

「プロテインと一口に言っても、添加物が多いものには注意が必要ですね。添加物が腎臓に悪い場合もありますし、糖質を多く含むものは糖尿病のリスクを上げるなどのデメリットが考えられます。私もトレーニング後にはプロテインを摂取しますが、グラスフェッド(牧草飼育)プロテインやオーガニックプロテインを選ぶようにしています。

 かつて“野菜ジュースが体に悪い”と騒がれたこともありましたが、市販の野菜ジュースの中には糖質が多く、体に良いとはいえないものもありますが、野菜だけを絞った野菜ジュースは体に良いわけです。プロテインも同じで、どういった中身かが大事ですね」(同)

生活に合わせてプロテインを摂取

 プロテインの添加物等が心配という人は、食事からプロテインを取ることも可能である。

「プロテイン(たんぱく質)の1日の必要摂取量は、運動をしない人でも体重1kg当たり1gといわれます。60kgの人であれば60gということになりますが、これを食事から取るのは大変だと思います」(同)

 たとえば、ささみ100gに19g、豚ロース150gに22.7g、マグロ100gには26.4gのたんぱく質が含まれる。60gのたんぱく質を取るためには、それなりの量の肉や魚を食べる必要がある。

「食事から十分に取れる人はそれでいいと思いますし、時間がなく料理もできないという人にとっては、プロテインで手軽に補うことができるのはいいことですし、生活にあった方法で摂取できればいいのではないかと思います」(同)

 むやみやたらにプロテインを摂取すると健康を害することもあるが、自分の体質・体調も考慮したうえで、質の良いプロテインを適量摂取するならば有益となり得るということだ。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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