ビジネスジャーナル > ライフニュース > 大流行のグルーガンメイクの危険性
NEW
吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

JKの間で大流行、「グルーガンメイク」の危険性…皮膚に深刻な傷痕や生殖器系にも多大な影響

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
JKの間で大流行、「グルーガンメイク」の危険性…皮膚に深刻な傷痕や生殖器系にも多大な影響の画像1
グルーガン(「Wikipedia」より)

グルーガンメイク」と呼ばれる、グルーガンを使った”涙メイク“が話題を集めている。TikTokなどのSNSでは、グルーガンでつくった涙を頬につけた写真や動画が数多く投稿されている。

 グルーガンといえばDIYや工作などで使用する接着剤だが、グルーガンは装具でその中にグルースティックという棒状の樹脂が入っている。その樹脂は高熱で溶け、常温で固形になる性質がある。

 そのグルーガンで涙のような形をつくり顔に貼り付けるというのだが、写真を見た多くの人たちから、「危険だ」「火傷する」など心配の声も上がっている。

肌に直接使用はNG

 グルーガンの融点(溶ける温度)は、低温タイプで130度前後、高音タイプで180度前後だ。グルーガンを直接肌につければ、大変なことになるのは言うまでもない。実際には、グルーガンを缶などの上に涙の形に絞り出し、グルーが固まったら缶から剥がし、つけまつ毛用接着剤を使用して頬に貼り付けているようだ。このグルーガンメイクの危険性について、麹町皮ふ科・形成外科クリニックの院長苅部淳医師に聞いた。

「皮膚科医として言えるのは、当然、絶対に行ってはいけないということ。グルーガン(グルースティック)の成分である酢酸ビニルは皮膚刺激性が強く、水疱形成、潰瘍形成を起こし、皮膚に深刻な傷を残すことになります。

 また、グルーガンに含まれるエチレンオキシドは、眼、気道、神経系、胃腸障害、造血系に影響を及ぼす可能性もあります。さらに女性においては、生殖器系と胎児にも影響を及ぼす可能性があるため、若い女の子が顔に付着させるのは非常にリスクが大きいといえます。絶対に行わないでください」

短時間でも肌に負担

 苅部医師が指摘するように危険があるにもかかわらず、美容系のサイトなどでは「短時間の使用」なら問題ないようにとれる表現もある。テレビでも「JKの新定番」などと紹介したり、「正しい涙メイクの方法」などとグルーガンメイクを推奨するかのようなウェブサイトもある。

 しかし、つけまつ毛用接着剤は、ラテックスを含むものも多く、ラテックスアレルギーを引き起こす可能性もある。いずれにせよ、顔の皮膚は薄く刺激に弱いということを考えれば、グルーガンメイクが肌に負担をかけることは明白だろう。

 SNS映えを狙うがゆえに、思わぬダメージを受けないように冷静な判断をしてほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

JKの間で大流行、「グルーガンメイク」の危険性…皮膚に深刻な傷痕や生殖器系にも多大な影響のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!